エルネスト・メックリンガー

エルネスト・メックリンガー：知性と芸術を兼ね備えた帝国軍の提督

エルネスト・メックリンガーは、田中芳樹のSF小説『銀河英雄伝説』に登場する、銀河帝国の主要人物の一人です。「文人提督」「芸術家提督」の異名を持ち、その戦略手腕と芸術に対する深い造詣で知られています。作中では「メックリンガー」と呼称されることが多いです。

概要

メックリンガーは、ローエングラム陣営の主要提督であり、後に「獅子の泉の七元帥」の一人に数えられます。彼は、単なる軍人としてだけでなく、優れた詩人、画家、音楽家としての才能も持ち合わせています。その多才さから「文人提督」「芸術家提督」と呼ばれました。

乗艦は、OVA版では「クヴァシル」、Die Neue These版では「ガンダルヴァ」です。同僚提督の中では、ラインハルトの幕僚や軍政面で活躍することが多く、艦隊司令として前面に出る描写は比較的少ないです。しかし、その戦略眼は高く評価されており、帝国軍にとってなくてはならない存在でした。

メックリンガーは、主要提督の中でも古くからラインハルトと関わっており、外伝にも登場します。本編では、ラインハルトの元帥府開設に伴う登用から登場し、物語の初期から最後まで、重要な局面で活躍しました。

略歴

メックリンガーの時系列上の初登場は、外伝のクロプシュトック事件です。この事件では、ブラウンシュヴァイク公爵邸の警備担当として、ラインハルトを職務質問するという形で出会いを果たします。ただし、OVA版ではクロプシュトック事件の時系列が変更され、警備担当もシュトライトに変更されています。

続く第4次ティアマト会戦では、ラインハルトの参謀長としてブリュンヒルトに搭乗し、その戦略手腕を発揮します。しかし、本編開始となるアスターテ会戦時には、ラインハルトの失脚を企む門閥貴族派によって、親交のある将校の多くが引き離されたため、メックリンガーも別の任地にいました。

本編での初登場は、ラインハルトの元帥府の開府において、艦隊司令官として登用される場面です。リップシュタット戦役後には大将に昇進し、統帥本部次長に就任します。

第一次ラグナロック作戦以降は、軍事行動時の後方担当として、帝国本土方面を主に担当します。ローエングラム王朝成立後には上級大将に昇進しました。

回廊の戦いにおいては、帝国方面軍として、旧同盟領方面軍のビッテンフェルトらと挟撃する策を立てますが、ヤンの策謀によって進軍を取りやめてしまいます。

ロイエンタールの叛乱においては、ウルヴァシー事件の再調査を行い、真相を究明した上でグリルパルツァーを断罪します。また、幕僚総監の地位にあったヒルダが皇后となると、その後を継いで幕僚総監に就任し、ブリュンヒルトに乗艦します。

ラインハルトの死後は「獅子の泉の七元帥」の一人として元帥に任ぜられました。

後世に回顧録を残しており、作中でしばしばそれが引用されます。原作におけるラインハルトの臨終の場面は「…かくて、ヴェルゼーデは聖なる墓となった」という彼の一文で締めくくられています。

能力と人物

メックリンガーは、戦場全体を広い視野で見渡し、状況に応じて必要な兵力を配置・投入することで、着実な勝利をもたらす戦略家タイプの提督です。参謀や後方支援の能力にも長けており、情報分析能力にも優れています。ウルヴァシー事件の際には、事件発生からロイエンタールの反乱に至る経緯の調査にあたり、ミッターマイヤーの違和感の原因を的確に指摘しました。

また、回顧録からの引用という形で、ラインハルト、ロイエンタール、オーベルシュタイン、ラング、そして敵方であるヤン・ウェンリーなどに関する彼の評価がよく登場します。

軍官僚としての能力も高く評価されており、ロイエンタール反逆の際、軍務尚書のオーベルシュタイン更迭をラインハルトに進言したミッターマイヤーは、後任としてケスラーと共にメックリンガーの名を挙げています。

「芸術家提督」の異名通り、音楽、絵画、文芸などに精通し、ピアニスト、水彩画家、散文詩人としても名声を得ています。ラインハルト個人に対する評価・忠誠についても、彼自身を一つの優れた芸術作品と捉えている部分がしばしば描写されます。

普段の態度は温和な紳士として描写され、広い戦略眼を持って的確に分析するため、同僚からの信頼も厚いです。芸術品や骨董品の収集・保全にも関心があり、リップシュタット戦役でガイエスブルク要塞が陥落した際には、門閥貴族らが集めた美術品の保全にあたりました。

まとめ

エルネスト・メックリンガーは、軍事的な才能と芸術的な才能を兼ね備えた、銀河英雄伝説の中でも特異な存在です。ラインハルトの側近として、帝国の発展に大きく貢献し、その知性と教養で多くの人々を魅了しました。

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