エルメジンデ (ルクセンブルク女伯)

ルクセンブルク女伯エルメジンデ：激動の時代を生きた女性

エルメジンデ2世（1186年 - 1247年）は、12世紀後半から13世紀前半にかけてルクセンブルク女伯として、その時代を生きました。父ハインリヒ4世の唯一の子供として生まれ、ルクセンブルクの歴史において重要な役割を果たしました。

相続をめぐる争い

エルメジンデが生まれる前、父ハインリヒ4世は甥であるエノー伯ボードゥアン5世を後継者としていました。しかし、エルメジンデの誕生により、ハインリヒ4世は彼女を後継者に指名したため、1197年の父の死後、後継者争いが勃発。最終的に、ハインリヒの遺領は分割されることになりました。ボードゥアンはナミュール伯領を、エルメジンデはデュルビュイ伯領とラ・ロッシュ伯領を相続し、ルクセンブルク伯領は神聖ローマ皇帝に返還され、皇帝ハインリヒ6世は弟オットーに与えました。

結婚とルクセンブルク伯領の回復

エルメジンデは当初、シャンパーニュ伯アンリ2世と婚約していましたが、後に解消。その後、バル伯ティボー1世と結婚しました。ティボー1世は、ナミュール侯フィリップとその兄ボードゥアンとの交渉によりルクセンブルク伯領の相続権を放棄させ、最終的にエルメジンデとティボー1世はルクセンブルクを継承することができました。

ティボー1世の死後、エルメジンデはリンブルフ公ヴァルラム3世と再婚。ヴァルラム3世もルクセンブルク伯となりました。1223年、エルメジンデとヴァルラム3世はナミュールの相続権を主張しましたが、成功しませんでした。

ヴァルラムの死後、エルメジンデは約20年間単独でルクセンブルク伯領を統治し、都市に自由都市の特許状を与え、領内を繁栄させました。

伝説と埋葬

エルメジンデの死後、彼女を巡る伝説が生まれました。ある日、エルメジンデがアイシャンにある城の周りを歩いていると、丘から羊皮に包まれた赤子を抱く女性が現れました。羊皮には黒い十字が描かれており、エルメジンデはその女性を聖母マリアだと確信し、その地に修道院を建設することを決意し、自身もそこに埋葬されることを望んだと言われています。しかし、実際にはクレールフォンテーヌ修道院は息子のハインリヒ5世によって建設されました。

この修道院は後にフランス軍によって破壊されましたが、19世紀にイエズス会によって一部が修復されました。その際、エルメジンデの墓石と人骨が発見され、「ここにルクセンブルクおよびナミュール女伯エルメジンデが眠る」と記された額も見つかりました。現在、エルメジンデはクレールフォンテーヌ修道院の地下室に埋葬されています。

子女

エルメジンデは2度の結婚で多くの子をもうけました。

最初の夫バル伯ティボー1世との間には、以下の子供がいます。

ルノー - ブリエ領主
エリザベート - モンシャウ領主ヴァルラム・ファン・リンブルフと結婚
マルグリット - ヴォーデモン伯ユーグ3世、ボア領主アンリ・ド・ダンピエールと結婚

2度目の夫リンブルフ公ヴァルラム3世との間には、以下の子供がいます。

ハインリヒ5世 - ルクセンブルク伯
ジェラール1世 - デュルビュイ伯
カタリーナ - ロレーヌ公マチュー2世と結婚

エルメジンデは、激動の時代を生き抜き、ルクセンブルクの発展に大きく貢献した女性として、今もなお語り継がれています。

もう一度検索