エルンスト・ハッペル・シュターディオン

エルンスト・ハッペル・シュターディオン

エルンスト・ハッペル・シュターディオンは、オーストリアの首都ウィーンにある多目的スタジアムです。本スタジアムは、特定のクラブの本拠地ではありませんが、オーストリア代表のサッカーの試合が頻繁に行われる重要な場として知られています。

歴史的背景

このスタジアムの建設は1928年、オーストリア共和国の10周年を祝うための新しいスタジアムの建設が決定したことから始まりました。3年後の1931年には、設計を手掛けたドイツの建築家オット・エルンスト・シュバイツァーによって完成しました。開場当初の正式名は「プラーターシュターディオン」で、収容人数は約6万人という規模を誇っていました。初のイベントは「労働者オリンピック」であり、その安全性の高さから「世界で最もモダンなスタジアム」と呼ばれることもありました。

しかし、その多目的利用の特性から、スタジアムはサッカーの試合だけでなく、ナチスによる演説会や集会、さらには迫害されたユダヤ人の牢獄としても利用されるなど、暗い歴史も抱えています。第二次世界大戦後、オーストリアは復活し、スタジアムは再びスポーツやコンサートの場として利用されるようになりました。1950年には収容人数が約92,000人に拡大し、サッカーオーストリアA代表の試合では8万人以上の観客が集まることが一般的になりました。

1950年代には、オーストリア・ブンデスリーガのクラブもUEFAチャンピオンズカップやUEFAカップウィナーズカップの試合を行うようになりましたが、ウィーン以外のクラブはホームアドバンテージの観点から、地元のスタジアムを重視する傾向がありました。

さらに1980年代から1990年代にかけて、スタジアムはモダン化を進め、立ち見席が廃止され、以降は座席のみのスタジアムとなりました。この結果、収容人数は減少し、1990年代中頃には約50,865人にまで減少しました。

また、UEFAからは5つ星スタジアムとして認定されています。これまでにUEFAチャンピオンズカップ及びUEFAチャンピオンズリーグの決勝戦が4回、UEFAカップウィナーズカップ及びUEFAカップの決勝戦がそれぞれ1回ずつ開催されています。2008年には、オーストリア・スイス共同のUEFAヨーロッパ選手権に向けての修築工事が行われ、収容人数53,008人のスタジアムに改修されました。この大会では決勝を含む7試合がここで行われました。大会終了後、若干の縮小工事を経て現在の収容人数は51,905人となっています。

名称の由来

スタジアムは1992年に、オーストリアの伝説的な監督エルンスト・ハッペルを称えて現在の名称に変更されました。

記憶に残る試合

エルンスト・ハッペル・シュターディオンは数々の歴史的な試合の舞台となりました。特に1965年のオーストリア対スペインの試合は、92,708人という記録的な観客数を誇ります。その観客の前でオーストリアは3-0で勝利を収めました。

以上のように、エルンスト・ハッペル・シュターディオンは、オーストリアのスポーツ史の中で非常に重要な役割を果たしてきた多目的スタジアムであり、今後も多くのイベントがここで開催されることでしょう。

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