エル・コルテ・イングレス

エル・コルテ・イングレスの概要

エル・コルテ・イングレスは、マドリードに本社を置く百貨店グループであり、ヨーロッパで最大、全世界でも4番目に大きいデパートチェーンです。この企業は、スペインにおいて唯一の大規模百貨店チェーンであり、同社は百貨店のほかにも様々な業種の企業を傘下に持っています。ブランド名は、もともとオーダーメイド服を提供していた店舗に由来し、「イングランド仕立て」を意味します。典型的なファミリー企業で、長年にわたり非上場で運営されてきましたが、2021年には国際百貨店協会に加盟する12の百貨店グループの一つとなりました。

企業の歴史

エル・コルテ・イングレスの歴史は、1904年に遡ります。創業者ラモン・アレセスは、15歳でキューバのハバナに見出され、小売業の基礎を学びました。彼は1934年にマドリードのプレシアードス通りにて子供服専門の仕立て屋を買収し、有限会社「エル・コルテ・イングレス」を立ち上げました。1940年には株式会社化し、1946年にはマドリードに初の百貨店型店舗をオープンし、その後1960年代にはバルセロナ、バレンシア、セビリアにも展開を拡大しました。

1979年にはハイパーマーケット業界にも進出し、1989年にはアレセスの死去を機にその甥イシドロ・アルバレスが次代のCEOに就任。アルバレスは、マドリード・コンプルテンセ大学で経営学と経済学を学び、若くして役員に任命され、経営戦略を大幅に進化させました。特に1995年には競合他社であるガレリアス・プレシアードスを買収し、2001年にはリスボンに海外初店舗をオープンしました。

店舗と旗艦店

2013年時点で、エル・コルテ・イングレスはスペイン国内に206店舗、ポルトガルに2店舗、合計208店舗を展開しています。特にアンダルシア州が最も多く、続いてマドリード州やカタルーニャ州などがあります。また、旗艦店はマドリードのライムンド・フェルナンデス・ビリャベルデ通りに位置し、特にデザイナーズ・コレクションが豊富です。ここでは、エルメスやルイ・ヴィトン、ディオールなどの高級ブランドが揃っています。

商品の多様性とオンライン展開

エル・コルテ・イングレスは、音楽、映画、家庭用電化製品や家具、衣類、食料品、高級食品、自動車や不動産に至るまで、広範囲な商品を取り揃えています。特に2010年代には、ファッション専門のオンラインショップや高級ブランドのネット販売に注力し、デジタルマーケットへの進出を図っています。

社会貢献と企業責任

2013年にはバングラデシュのラナ・プラザ崩壊事故に関連し、エル・コルテ・イングレスは建物に入居していた複数の企業と共に、犠牲者へ向けた補償に関する協議を行い、責任を果たしました。国際労働機関などとの連携を通じて、企業の社会的責任を重要視しています。

系列企業

エル・コルテ・イングレスは多様な業種へも展開しており、イーペルコル（総合スーパー）、スーペルコル（スーパーマーケット）、ガソリンスタンド内設コンビニのレプソル・オーペンコルや、旅行会社のビアヘス・エル・コルテ・イングレスなど多岐にわたる関連企業を運営しています。これにより、グループ全体でのシナジーを追求し、さらなる成長を目指しています。

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