エレファント勲章

エレファント勲章

エレファント勲章（デンマーク語: Elefantordenen）は、デンマーク王国における最高位の勲章として知られています。その起源は15世紀にまで遡り、特に1693年にその存在が正式に記録されました。この勲章は、デンマークの王族や国家元首に授与されるもので、独特のデザインと深い歴史を持っています。

歴史的背景

エレファント勲章の発端は、1457年前後にクリスチャン1世によって設立されたとされる「聖母友愛兄弟団」にあります。この団体のメダルは、後にエレファント勲章のデザインの基礎となったと見なされています。そのデザインには、陽の光に包まれた幼いキリストを抱く聖母マリアが描かれており、メダルを吊るす鎖には象が連なっていました。この象がエレファント勲章でも重要な象徴となります。

1536年の宗教改革後、兄弟団は衰退しましたが、フレゼリク2世の治世において、象を身にまとった王の姿を刻んだ新たなメダルが授与され始めました。この象の選択は、象が純潔や信心深さの象徴とされていたことが影響していると言われています。

1685年、クリスチャン5世はエレファント勲章の正式なデザインを定め、当初は30人の貴族騎士に限定して叙任されることが決まりました。1958年には、男女を問わず授与されるように規定が見直されています。勲騎士となった者は、特別な印章や紋章を持つことができ、「閣下」や「閣下夫人」といった称号を得ることが許されます。

勲章のデザインと佩用

エレファント勲章のメダルは、金の地に白いエナメルで象が描かれ、背中には青い布が表現されているのが特徴です。象に載せられた見張り塔はダイアモンドで飾られ、勲章全体が華麗な印象を与えます。また、受章者は特定の衣装を着用し、厳粛な儀式に参加する際には、白や赤を基調とした特殊なマントやケープを着用することが求められます。

勲章は通常、重要な儀式や特別な日は象徴的に佩用され、普段は大きなリボンや頸飾と共に装飾品として示されます。エレファント勲章はデンマークだけでなく、スカンジナビア各国や他の国家元首にも授与されることがあります。

現代の状況

現代でもエレファント勲章はデンマークの皇室の重要な一部であり、歴代の受勲者の名簿には著名な政治家や軍人、学者が名を連ねています。一例として、アイゼンハワー元アメリカ大統領も受章しています。

エレファント勲章はその華美さや重厚さから、授与されることが非常に名誉なことであり、そのためには多くの条件が求められます。受勲者が亡くなった場合、原則として勲章は返却されますが、例外も存在します。18歳以上の王族に対して授与されるこの勲章は、デンマークにおける国家のアイデンティティや歴史を象徴する重要な存在です。

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