エンシェントの遺伝子

『スターゲイト SG-1』およびそのスピンオフである『スターゲイト アトランティス』といったSFテレビドラマシリーズに登場するエンシェントの遺伝子（Ancient Technology Activation Gene; ATA Gene）は、太古の種族エンシェントが開発した高度なテクノロジーを操作するために不可欠な、架空の遺伝要素です。

この遺伝子は、エンシェントの技術と「同期」するための特別な「鍵」として機能します。特に強力な装置や重要なシステムを起動・制御するためには、この遺伝子を保持していることが絶対条件となります。

機能メカニズム

シリーズに登場するベケット医師の研究によると、ATA遺伝子は人間の体内で常に活動しており、一連の特定のタンパク質や酵素を生成するよう細胞に指示を出しています。これらの生化学的要素が、皮膚や神経システム、脳といった身体の各部と連携することで、遺伝子保持者はエンシェントのテクノロジーと直感的に、あるいは訓練を経て相互作用し、操作することが可能となるのです。

エンシェントのテクノロジーの中には、ATA遺伝子の保持者が一度起動すれば、その後に他の非保持者でも使用可能になるものと、遺伝子保持者自身でなければ継続的な操作や特定の機能の利用ができない、より高度で安全機構が組み込まれたものが存在します。

遺伝子保持者の存在

ATA遺伝子は主にエンシェント自身に発現しますが、彼らがかつて活動していたペガサス銀河など、他の場所でもごく一部の種族に遺伝的な形で受け継がれている例が確認されています。特筆すべきは、我々の銀河である天の川銀河、とりわけ地球出身の人間の中にも、自然にこの遺伝子を持つ者が少数ながら存在することです。

生まれつき遺伝子を持つ者であっても、その能力をテクノロジー操作に十分に活かすためには訓練が必要な場合が多く、ジョン・シェパード中佐のように生まれつき非常に強い遺伝子を持ち、エンシェントのテクノロジーをほぼ直感的に使いこなせる者は非常に稀です。

遺伝子治療による導入

地球人がエンシェントのテクノロジーにアクセスする必要に迫られたことから、ベケット医師はATA遺伝子を人為的に導入する遺伝子治療法を開発しました。これは、不活性化させたマウスのレトロウィルスベクターを用いる手法です。しかし、この治療法による遺伝子導入の成功率は48%にとどまっており、希望する全ての人が遺伝子を獲得できるわけではありません。

地球出身の著名な保持者

以下に、シリーズに登場する地球出身のATA遺伝子保持者の例を挙げます。

生まれつきの保持者

ジャック・オニール少将
ジョン・シェパード中佐/少佐（特に強い遺伝子を持つ）
カーソン・ベケット医師
マーカム軍曹
クサナギ博士（言及のみで直接的な描写なし）
ジョー・スペンサー（民間人の床屋）

遺伝子治療成功者

ロドニー・マッケイ博士（人類初の被験者）
エヴァレット大佐

生まれつきか遺伝子治療かは不明

ミラー中尉
ローン少佐

遺伝子治療失敗者

* ラデク・ゼレンカ博士

エイデン・フォード中尉を巡る論争

エイデン・フォード中尉については、彼のATA遺伝子の有無に関してファンの間で論争が起こっています。シリーズシーズン1のエピソード「ホットゾーン」では、彼はATA遺伝子を持たない者だけが感染する特殊なウイルスに罹患します。これは、彼がその時点でATA遺伝子を持っていなかったことを示唆します。しかし、シーズン1の終盤に当たる「迫り来る危機完結編」では、酵素中毒状態にあったとはいえ、遺伝子保持者でなければ操縦できないとされるバトルジャンパーを単独で操っています。

遺伝子治療を受けた描写が一切なく、また治療の成功率も高くないことを踏まえると、このフォード中尉のエピソードには矛盾点が多く見られます。これは物語上の都合、すなわち中尉を危機的状況から脱出させるという脚本上の優先順位が、設定の一貫性よりも重視された結果である可能性が高いと考えられています。

ATA遺伝子は、スターゲイトの世界におけるテクノロジーの根幹に関わる重要な要素であり、登場人物たちの能力や物語の展開に大きく影響を与えています。

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