エンジェルボール

小説『エンジェルボール』の魅力

『エンジェルボール』は、著者・飛騨俊吾のデビュー作でありながら、すでに多くの注目を集めている作品です。この小説は、広島カープを舞台にした物語で、実際のチームの快進撃と重なるような感情が込められています。2016年には第6回広島本大賞の小説部門賞を受賞し、さらなる評価を得ることとなりました。

あらすじ

物語は、広島県因島に住むバツイチのトラック運転手、寺谷和章を中心に展開されます。彼は2人の息子と共に日々を過ごし、平凡な生活を送っています。しかし、ある日、交通事故に見舞われたことで、彼は謎の天使から“思いのままに飛んでいく魔球”を授かります。この魔球の力を借りて、寺谷は子供の頃から抱いていた夢を実現するため、広島カープの入団テストに挑むこと決意します。

物語は、寺谷が広島カープの守護神となるまでの軌跡を描いており、受難や野球への情熱、そして家族との絆が詰まった感動的なストーリーが展開されます。彼は魔球の秘密や自身の家族との関係にも悩みながら、その葛藤を乗り越え成長していきます。長編エンターテイメント小説として、全ての年代の読者に楽しんでもらえる作品に仕上がっています。

書籍の評価と出版経緯

『エンジェルボール』は、2015年8月に本の雑誌特集の途中で主演デビューしたことが評価され、特に本の雑誌では上半期のベスト10にランクインしました。また、2015年8月には週刊文春の「夏の特大号」で R・40本屋さん大賞文庫部門で第5位を記録しています。

初めての商業出版を目指した飛騨俊吾は、電子書籍での高評価を受けて数多くの出版社に原稿を提出しましたが、いくつかの出版社からは大幅な削減の要求がありました。作品の本質を守るために彼は断固として拒否し、青年漫画を刊行する双葉社に相談を持ちかけます。最終的に、流れに沿って作品の出版が実現し、2015年5月と6月に1巻から4巻までが続けて刊行されることに成功しました。

舞台化の歴史

また、『エンジェルボール』はその後、舞台化され、2017年には劇団SWITCHによって『赤魂』のタイトルで初めて舞台化されました。広島県民文化センターで行われたこの公演は、カープのセ・リーグ優勝を背景に観客が応援グッズを持参する中、盛況を極めました。

その後2018年には演劇集団キャラメルボックスが『エンジェルボール』として再度舞台化し、全国で公演が行われました。正確に設定されたキャストや、実際に野球を通じて育った出演者の存在が物語にさらなる深みを与えています。

まとめ

広島カープを舞台にした『エンジェルボール』は、夢を追う姿、家族の大切さ、そしてスポーツへの情熱を巧みに織り交ぜています。飛騨俊吾のデビュー作として始まり、多くの読者や観客の心をつかむ作品となった本作は、これからの展開にも大いに期待が寄せられます。

もう一度検索