エンゼル・ハート

エンゼル・ハート

『エンゼル・ハート』（英: Angel Heart）は1987年に公開されたアメリカのサスペンス映画であり、ウィリアム・ヒョーツバーグの小説『堕ちる天使』を原作としています。映画はその衝撃的な内容と特異な演出から多くの議論を呼び、特に「悪魔のバイブル」として知られる原作はアメリカにて廃刊運動にまで発展しました。本作は、舞台としてニューヨークのみならず、監督の意向でニューオーリンズの風景も取り入れています。日本のキャッチコピー「人間には、知ってはならないことがある──。」が示す通り、映画は人間の知らない闇の部分に深く迫っています。

ストーリー概要

物語は1955年に設定され、主人公である私立探偵ハリー・エンゼルが人探しの依頼を受けるところから始まります。依頼主は謎めいた紳士ルイ・サイファーであり、戦争神経症で精神病院に入院していたかつての人気歌手、ジョニー・フェイバリットを捜索することになります。依頼の背景にはジョニーの生死がかかっており、調査を通して次第に真実が明かされていくことになります。

ハリーはまず、ハーベスト記念病院を訪れますが、看護師から渡された書類に不審を覚えます。その書類にはジョニーが1943年に転院したと記されていましたが、その文字は異なる筆跡で、ボールペンで書かれたものでした。疑念を抱いたハリーは、ジョニーの担当医ファウラーに接触を試みますが、彼は行方不明です。最終的にハリーはファウラーの自宅に侵入し、そこでファウラーがモルヒネ中毒であることを知ります。ファウラーから聞き出した情報をもとに、ハリーはさらに調査を続行し、依頼を続ける理由として5千ドルの即金を受け取ります。

その後、ハリーはジョニーの周囲の人々に接触し、友人や恋人の情報を収集します。しかし、調査を進めるにつれて、彼の前に様々な危険が立ちはだかります。特に、コニーアイランドでは、友人というトゥーツとの関わりが疑念を呼び、さらに彼らが関わるブードゥー教の儀式に巻き込まれていきます。

事件の依頼と運命の曲がり角

ジョニーの踪を追うハリーは、次第に彼の過去や周囲の人々が抱える秘密に触れていきます。マーガレットやエバンジェリンとの接触から、ジョニーには死が暗い影を落としている事実が明らかになり、彼の過去は非常に困難なものだったことがわかります。また、ハリー自身にも関連した運命的な秘密が隠されていることが徐々に暴露されていきます。

結末

物語が進むにつれて、ハリーは自らの存在にまつわる衝撃的な真実に直面します。彼自身がジョニーであり、生贄としての過去を持つことが明らかになります。ストーリーの終盤では、多くの人々が死に、ハリーはついに自らの運命と向き合わざるを得なくなります。

ハリーの前に現れたルイ・サイファーが彼の正体を明かし、次第に自身が犯した罪を思い出す中で、物語は一気に緊迫感を増していきます。最後には、エレベーターの中で待ち受ける刑事たちが彼を連行し、部屋の惨状が示されることで、ハリーの運命が決定づけられます。

エンゼル・ハートは、サスペンスに人間の心理を巧みに織り交ぜた作品として、観る者に強烈な印象を残す映画となっています。

もう一度検索