エンターテインメント・ワン

エンターテインメント・ワン（Entertainment One、略称：eOne）は、カナダ・トロントに拠点を置く、世界的に展開するエンターテインメント企業として知られています。1970年の設立以来、映画やテレビ番組の制作、配給、そして取得を主な事業として成長を遂げました。

初期の事業拡大から、2010年代に入ると、eOneは積極的な買収戦略によってその勢力を拡大していきます。2016年には、映画制作会社Sierra Picturesへの戦略投資、音楽レーベルDualtone Music Group、音楽出版・アーティスト管理会社Last Gangの買収などを実施。さらに、ドキュメンタリー制作会社Renegade 83の株式も取得し、多角的な事業展開を強化しました。

2017年には、ハリウッドのプロデューサーであるBrad Westonとの協業により、グローバルコンテンツ制作スタジオMAKEREADYを設立。この戦略的な提携は、eOneの国際的なプレゼンスをさらに高めることとなりました。その後もeOneは、英国のドキュメンタリー制作会社Whizz Kid EntertainmentやDaisybeck Studios、アメリカの長編ノンフィクション制作会社BLACKFINなどを買収し、コンテンツ制作能力の強化を図りました。また、eOne Musicは、映画やテレビ音楽制作を手掛けるAudio Networkを買収するなど、音楽分野でも存在感を増大させています。

2019年末、eOneは玩具メーカー大手ハズブロに買収され、その傘下に入りました。ハズブロはeOneの制作部門を新たな制作部門として位置付け、おもちゃを原作としたコンテンツ開発や配信を開始しました。しかし、eOneのハズブロ傘下時代は長くは続きませんでした。2022年には、ハズブロがeOneのメディア資産の売却または再構築を検討していることが報じられ、CEOの交代も発表されました。そして、2023年、ハズブロはeOneのエンターテインメント資産をライオンズゲートに5億ドルで売却することで合意、2023年末に売却が完了しました。これは、eOneの歴史における大きな転換点となりました。

eOneは、数多くの映画やテレビシリーズの制作・配給に携わってきました。映画作品としては、『インシディアス』シリーズ、『スポットライト 世紀のスクープ』『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』といった話題作や、『トランスフォーマー／ビースト覚醒』など大作映画も手掛けています。また、子供向けアニメーション映画『マイリトルポニー：新しい世界』や『でっかくなっちゃった赤い子犬 僕はクリフォード』なども制作しています。

テレビシリーズでは、『ペッパピッグ』、『ウォーキング・デッド』、『しゅつどう!パジャマスク』、『パワーレンジャー』シリーズなど、幅広いジャンルの作品を制作・配給し、世界中で高い人気を博しています。eOneは、これらの作品を通して、グローバルエンターテインメント業界に大きな貢献を果たしてきました。

eOneの歴史は、積極的な事業展開と戦略的な買収、そして大きな転換期を経て、常に変化と成長を繰り返してきたことを示しています。 ライオンズゲート傘下となったeOneの今後、そしてそのエンターテインメント資産がどのように活かされていくのか、注目が集まります。

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