エンパイア レコード

1995年に公開されたアメリカ映画『エンパイア レコード』は、失われゆく個の価値観と音楽への愛情を巡る青春コメディです。物語の舞台は、とある地方都市にある古き良きレコード店「エンパイア・レコード」。この店が、巨大チェーンの波に飲み込まれそうになる危機に瀕する、たった一日のできごとを描きます。

深夜まで営業し、地元の人々に愛されるこの店は、何よりもそこで働くユニークなアルバイト店員たちの存在によって活気に満ちています。それぞれが強い個性を持ち、時にぶつかり合いながらも、店を特別な場所にしています。彼らの日常が中心に描かれます。

物語は、前日の売上金9000ドルを入金に行ったまま戻らないルーカスを、店長のジョーが案じるところから始まります。一方で、A・Jはコリーに告白を決意しますが、コリーは来店予定の元アイドル歌手レックスに夢中です。開店後、戻ったルーカスは売上金をカジノで失ったと告白。ジョーは彼を謹慎させます。遅れて出勤したデブラは、突然髪を剃りスキンヘッドになる衝撃的な行動で皆を驚かせます。

そんな騒動の中、オーナーのミッチが現れ、失われた売上金を取りに来ます。実はミッチは店を大手チェーンに売却しようとしていました。店の個性が失われることを嫌う店長のジョーは、資金を貯めて共同経営者となり売却を阻止しようと計画。ルーカスもまた、売却計画を知り、店を守るため売上金をカジノで増やそうとして失敗したのです。

愛する店が存亡の危機にあることを知った店員たちは、一致団結し、チャリティーライブの開催によって店の資金を集めることを思いつきます。このライブを通して、彼らは自分たちの絆と、店、そして音楽への愛を再確認しようとします。

主要キャストには、コリー役のリヴ・タイラー、A・J役のジョニー・ホイットワース、店長のジョーを演じるアンソニー・ラパーリア、ルーカス役のロリー・コクレーン、デブラ役のロビン・タニー、ジーナ役のレネー・ゼルウィガーらが名を連ねています。特にデブラ役のロビン・タニーは、役作りのために実際にスキンヘッドになったエピソードが知られています。若き日のトビー・マグワイアも出演していましたが、最終的にそのシーンはカットされています。

『エンパイア レコード』は、レコード店という場を舞台に、若者たちの葛藤、友情、そして自分たちが大切にしているものを守ろうとする強い意志を描いた物語です。音楽が流れる騒々しくも心温まる一日を通して、青春時代の輝きと、失われゆく文化への愛着が描かれています。

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