エンリケ・ホリン

エンリケ・ホリンの生涯と業績

エンリケ・ホリン（Enrique Jorrín）は1926年12月25日にキューバのピナール・デル・リオ州カンデラリアで生まれ、1987年12月12日にハバナで亡くなった著名な音楽家です。彼は主にチャランガのヴァイオリニスト、作曲家、音楽監督として知られており、特にダンソンから派生したダンス音楽「チャチャチャ」の創始者と目されています。

幼少期と音楽との出会い

ホリンは幼少期に家族と共にハバナのエル・セロに移住し、その地で多くの時間を過ごしました。12歳の頃、彼は音楽に目覚め、ヴァイオリンを学ぶことを決意します。その後、ハバナ市立音楽院で音楽を学びながら、音楽家としてのキャリアがスタートしました。

最初の職業音楽家としての経験は、エンリケ・ゴンサレス・マンティシが指揮していたキューバ国立音楽院のオーケストラでのヴァイオリニストとして得られました。1941年にはダンソン楽団であるエルマノス・コントレラスに参加し、ここでポピュラー音楽への情熱が育まれました。

新ジャンル「チャチャチャ」の誕生

1950年代前半、ホリンはニノン・モンデハルが指揮するオルケスタ・アメリカに在籍しながら、新しいダンス音楽のスタイルを確立しました。それが後に「チャチャチャ」として知られるようになり、彼の音楽キャリアの転機となります。このスタイルはすぐに人気を博し、ホリン自身も多くの作品を残しました。

1954年から1958年にかけてメキシコに滞在した後、1964年には自らの楽団、オルケスタ・デ・エンリケ・ホリンを率いて国際的なツアーを行い、アフリカやヨーロッパでも活躍しました。この時期、彼はキューバのレコードレーベルEGREMと契約し、多くのレコーディングを行いました。

音楽活動と後進の育成

1974年には新たなチャランガ楽団を結成し、歌手ティト・ゴメスやピアニストルベン・ゴンサレスらをメンバーに迎え入れました。この楽団はハバナを拠点として活動し、ホリンの楽曲を今もレパートリーに組み入れています。また、彼は甥のオマール・ホリン・ピネダを育て、将来的には優れたピアニストとして楽団に加えることになります。

代表的な作品

ホリンの作曲した楽曲には数多くの名作があり、特に「チャチャチャ」のジャンルは彼によって大きく発展しました。彼の代表曲としては、

• - ダンソン

- Hilda
- Liceo del Pilar
- Central Constancia
- Doña Olga
- Silver Star

• - チャチャチャ

- Arpeando el Cha-cha-chá
- La engañadora
- El alardoso
- El túnel
- Nada para ti
- Osiris
- Me muero

中でも「Milagros del Cha Cha Cha」は特筆すべき作品であり、1950年代半ばに日本でも広まり、江利チエミと雪村いづみの歌唱によって新たな形で人気を得ました。

最後に

エンリケ・ホリンは、キューバの音楽シーンにおいてその影響を強く残し、多くの後進の音楽家にインスピレーションを与えました。彼の業績は今もなお多くの人々に親しまれており、チャチャチャやチャランガの歴史にとって欠かせない存在となっています。

もう一度検索