エンリケ4世 (カスティーリャ王)

エンリケ4世：不運な国王、その生涯と遺産

エンリケ4世（1425年 - 1474年）は、カスティーリャ王国の国王として、その治世と私生活において多くの困難に直面しました。彼は「不能王」という不名誉なあだ名で知られ、彼の治世は貴族の権力増大と王権の衰退によって特徴づけられます。

結婚と世継ぎ問題

エンリケ4世は生涯で二度結婚しました。最初の妻は、アラゴン王フアン2世の王女ブランカでした。しかし、この結婚は一度も完成することがなく、13年後には婚姻の無効が申し立てられました。公式の検査でブランカの処女が確認され、エンリケの性的不能疑惑が浮上しました。聖職者の調査により、エンリケの性的能力は確認されたものの、結婚は「魔法」によって妨げられたとして無効となりました。

二度目の結婚は、ポルトガル王女フアナとでした。彼女との間に王女フアナが誕生しましたが、王妃フアナの不貞行為が噂され、王女フアナの正当性が疑われるようになりました。彼女は「フアナ・ラ・ベルトラネーハ」と呼ばれ、エンリケ4世の死後の王位継承問題の種となりました。

治世と貴族の台頭

エンリケ4世の治世は、貴族の勢力が増大し、王権が弱まるという特徴がありました。彼は貴族の台頭を抑えることができず、国内の分権化が進みました。王の優柔不断さ、王妃の不義、そして王位継承者の曖昧さは、国内の政治的不安定を招き、後の紛争の火種となりました。

死と王位継承戦争

1474年、エンリケ4世はマドリードで亡くなりました。彼の死後、異母妹であるイサベルと、王女フアナがそれぞれ王位を主張しました。イサベルはアラゴン王国の支援を受け、フアナはポルトガルの支援を受けました。この対立は、カスティーリャ継承戦争を引き起こしました。結果として、イサベルが勝利し、カスティーリャ女王として即位しました。このイサベル女王こそが、後のスペイン統一を成し遂げ、コロンブスを支援したイサベル1世です。

エンリケ4世の生涯は、不運と政治的混乱に満ちていました。彼の治世は、カスティーリャ王国の歴史における重要な転換点となり、後のスペインの隆盛へと繋がる道を開きました。

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