エヴァーモア (テイラー・スウィフトのアルバム)

evermore

アメリカ合衆国のシンガー・ソングライター、テイラー・スウィフトによる通算9枚目のスタジオ・アルバム。

前作『folklore』からわずか5ヶ月という短い期間を経て、2020年12月11日に突如リリースされました。これもまた前作と同様、発売のわずか数時間前にソーシャルメディアを通じて発表されるという、ファンにとって嬉しいサプライズ形式が採られています。スウィフト自身はこの作品を、『folklore』という物語の「姉妹」であると位置づけています。

制作背景

『folklore』の完成後、プロデューサーのアーロン・デスナーをはじめとする前作の制作チームとの共同作業を継続するか、テイラー・スウィフトは思案していました。彼女はこの制作の動機について、「端的に言えば、曲作りがどうしても止まらなかったのです」と語っています。詩的な言葉を選んで表現するならば、「『folklore』の森の入り口に立った私たちは、そこで立ち止まるか、あるいはさらに音楽の森の奥深くへと分け入るかの二つの道が見えていました。そして、私たちは探検を続ける方を選んだのです」と、尽きない創作意欲があったことを明かしています。

また、本作のリリース時期には、テイラー・スウィフト自身の誕生日が深く関係しています。12月13日に31歳を迎える彼女にとって、誕生日直前のタイミングで新作を発表することには特別な思い入れがあったと言います。彼女は「13歳の頃から、31歳になるのを心待ちにしていました。私の幸運の数字（13）を逆さまにした年齢だからです。だから、このタイミングで皆さんを驚かせたかった」と述べています。さらに、「いつも誕生日に皆さんがたくさんの配慮やサポート、思いやりを見せてくれたので、今回は私が皆さんに何かを贈りたいと思ったのです」とファンへの感謝を示しつつ、「今年のホリデーシーズンは、多くの方にとって孤独を感じる時間になるでしょう。もし皆さんのなかに、私と同じように、誰かを恋しく思う気持ちを和らげるために音楽に頼る人がいるのなら、このアルバムはまさにそのためのものです」と、作品に込めた温かいメッセージを寄せています。

音楽性と参加アーティスト

本作でも、前作『folklore』に引き続き、ボン・イヴェール、プロデューサーであるアーロン・デスナーがメンバーとして活動するザ・ナショナル、そしてハイムといった個性豊かなアーティストたちがゲストとして参加しており、作品世界に深みを与えています。

商業的成功

『evermore』はリリースされるやいなや、全世界で初週に100万枚を超える売上を達成しました。これにより、彼女のアルバムは『Fearless』以降、全ての作品が初週ミリオンを記録したことになります。米国では、初週に約32.9万ユニットを売り上げ、主要アルバムチャートであるBillboard 200で堂々の初登場首位を獲得。これは、女性ソロ歌手としては史上初めて、8作連続で首位を獲得するという歴史的な快挙となりました。

さらに、アルバムに収録されている全15曲が、同じ週にBillboard Hot 100チャートにランクインするという異例の現象を起こしました。特に、リードシングルとして同時にリリースされた「willow」は、初登場でチャートの頂点に立ちました。彼女にとって、シングルが初登場で首位を獲得したのはこれが7曲目となります。アルバムとシングルが同時に初登場首位を飾るという快挙は、前作『folklore』とそのリード曲「cardigan」に続き、二度目の達成となりました。

ミュージックビデオ

アルバムの発売と同時に公開されたリードシングル「willow」のミュージックビデオは、テイラー・スウィフト自身が監督を務めました。このMVは、前作のリードシングル「cardigan」のミュージックビデオの最後のシーンから物語が始まるという、ファンにとって嬉しい仕掛けが盛り込まれており、二つのアルバムの「姉妹」関係を視覚的にも表現しています。

シングル

willow (2020年12月11日) - Billboard Hot 100 最高1位
no body, no crime (feat. Haim) (2021年1月11日)
* coney island (feat. The National) (2021年1月18日)

※収録曲のオリジナルタイトルは全て小文字で表記されています。

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