エーリヒ・ヘプナー

エーリヒ・クルト・リチャルド・ヘプナー

エーリヒ・クルト・リチャルド・ヘプナー（1886-1944）は、ドイツ陸軍の著名な軍人であり、第二次世界大戦中における戦車部隊の指揮官として特に知られています。彼は戦争の最前線で数々の戦功を収めましたが、その後の運命は彼の反抗的な行動によって大きく変わりました。

初期の生涯と軍歴

ヘプナーはフランクフルト・アン・デア・オーダーに医師の息子として生まれました。1890年にベルリンに移り住み、1895年にはギムナジウムを卒業します。1909年には士官候補生としてシュレースヴィヒ・ホルシュタイン第13竜騎兵連隊に配属され、1910年には結婚して二人の子供をもうけました。第一次世界大戦中、彼は第16軍団の副官として前線に従軍し、戦争後は様々な役職を歴任しながらキャリアを積んでいきます。

1939年の第二次世界大戦の勃発前には、既に騎兵大将としてベルリンの第16軍団を指揮していました。彼はポーランド侵攻において第16自動車化軍団を指揮し、戦功により騎士鉄十字章を受章。その後も西方電撃戦で大きな成果を上げ、上級大将に昇進します。

戦車部隊の指揮とその後

ヘプナーは1941年にバルバロッサ作戦に参加し、モスクワの戦いの前哨戦となるビャスマ・ブリャンスクの戦いでのソ連軍の包囲撃滅に成功しました。この時期、彼はグデーリアンやロンメルと並ぶ優れた装甲部隊指揮官として知られていました。しかし、1942年にソ連軍の冬季反攻が始まると、ヒトラーの戦術的な命令に対して反抗的な行動をとったため、彼は更迭され、国防軍を不名誉に除隊されてしまいます。

上級大将の給与や年金が停止された後、彼はこの決定に不服申立てをし、年金の支給を勝ち取ります。これにより、彼はヒトラーに対する抵抗運動に参加する道を選ぶことになります。

ヒトラー暗殺計画への関与

1944年7月20日、ヒトラー暗殺計画が実行に移されます。この時、ヘプナーはベルリン・ベンドラー街に所在する国内予備軍司令部にいました。彼はクーデター派から同軍の司令官に任命されますが、たちまち軍部隊の指揮を効果的に行うことが難しい事態に直面します。さらにヒトラー派の抵抗に遭い、クーデターは失敗に終わります。

夜にかけて、ヘプナーは逮捕され、後に軍法会議にかけられることになります。彼は自己弁護を希望しましたが、同年8月8日には死刑判決を受け、わずか数時間後に処刑されました。彼の死は、ヒトラーに対抗した軍人としての彼の敬意を表されることになる一方で、彼が採った抗議行動への悲劇的な結末を示しています。

戦後の評価

ヘプナーの行動は、戦後のドイツにおいてかれの名声を高める要因となり、兵舎や学校、通りに彼の名前が冠されるなど顕彰されました。彼の生涯は、戦争の激動の中での軍人としての栄光と、独裁政権に対する抵抗者としての苦悩を象徴しています。

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