オイゲン・フォン・ブラース

オイゲン・フォン・ブラース（Eugen von Blaas、イタリア名: Eugenio de Blaas、1843年7月24日 - 1931年2月10日）は、イタリアで生まれたオーストリアの画家です。彼は、ヴェネツィアの日常生活や人々を捉えた風俗画、人物画で広く知られています。

生い立ちと教育

ブラースは、ローマ近郊のアルバーノ・ラツィアーレで誕生しました。彼の父、カール・フォン・ブラースもまた著名な画家で、歴史画や装飾画を得意としていました。父はオイゲンが生まれた当時、ローマやフィレンツェで修行を積んでおり、後にウィーン美術アカデミーやヴェネツィア美術アカデミーの教授を務めました。弟のユリウス・フォン・ブラースも人物画家、動物画家として活躍しました。オイゲンは、父親が教鞭をとるヴェネツィア美術アカデミーやローマの美術学校で学びました。19歳という若さでアカデミーの賞を受賞し、その才能を早くから開花させました。

画家としてのキャリア

ブラースは、ヴェネツィアの人々や風景を題材にした風俗画や人物画を多く制作しました。彼の作品は、イタリア各地だけでなく、ヨーロッパの主要都市でも展覧会が開かれ、高い評価を受けました。1863年には、メラーノのサンヴァレンティーノ教会に描いた祭壇画が知られています。1884年には、その功績が認められ、ヴェネツィア美術アカデミーの名誉教授に任命されました。

作品の特徴

ブラースの作品は、写実的な描写と、人物の表情や仕草を捉えることに長けています。特に、ヴェネツィアの人々の日常を生き生きと描いた作品は、見る者にその場の空気感を感じさせます。彼の作品は、当時の風俗を理解する上で貴重な資料であるとも言えます。彼は、伝統的な技法を尊重しつつ、独自の表現を追求しました。

晩年

ブラースは、ヴェネツィアでその生涯を終えました。彼の作品は、今日でも多くの人々に愛され、美術館や個人コレクションに収蔵されています。

主な参考文献

Dizionario illustrato dei pittori e incisori italiani moderni di A. M. Comanducci, Milano 1962
Dizionario Enciclopedico Bolaffi dei pittori e degli incisori italiani dall'XI al XX secolo'. Torino 1972
Eugen von Blaas (1843-1931). Thomas Wassibauer, Das Werk / Catalogue raisonné 2004
La pittura in Italia L'Ottocento, Electa, Milano 1991

オイゲン・フォン・ブラースは、19世紀のイタリア美術において重要な役割を果たした画家の一人であり、彼の作品は、当時の社会や文化を映し出す貴重な鏡となっています。

もう一度検索