オウム真理教の修行

オウム真理教の修行について

オウム真理教で行われた修行には、多様な手法が存在し、その背後には独特の信仰がありました。初期の頃、修行は主にヨーガを基盤としており、次第にオウム独自の解釈が広まりました。特に「イニシエーション」という言葉は、元々は「加入礼」を意味した宗教用語に過ぎなかったものの、教団によって「弟子に解脱者のエネルギーを伝授する行為」という新たな意味で利用され、信者を引き込む手段として重要でした。

麻原彰晃は、反社会的な活動を「修行の一環」として正当化し、信者に対して終末思想をあおっていました。「第三次世界大戦を回避するために三万人の成就者を出す」旨を信じ込み、そのためには徹底して麻原への従属とその教義の受容が求められました。その過程で、信者からは反抗心を奪うための洗脳手法が使用されました。

特に「観念崩し」という手法は、自己啓発セミナーの影響を受けており、教団内で洗脳プログラムを練り上げました。麻原が進めた修行は、時に極端なもので、様々な実験的修行が行われました。

修行内容の具体例

1. アーサナ（体操）: ヨーガの基本動作から始まりました。
2. プラーナヤーマ（呼吸法）: ヨーガの一環として呼吸を整えることが奨励されました。
3. クンバカ（息を止める修行）: 水中でのクンバカ大会が行われ、麻原自身は拒否しながらも信者には多くのプレッシャーをかけました。
4. ガージャガラニー（胃を洗う修行）: 塩水を飲んで吐き出す修行がありました。
5. ダルドリー・シッディ（浮揚現象）: 自らの意志とは関係なくクンダリニーのエネルギーが上昇することを示すとしています。

修行は肉体的なものだけではなく、精神的なコントロールの側面も強調されました。例えば、麻原は「マハームドラー」と呼ばれる修行で弟子の帰依を試み、過酷な指示を出して自身の教義を貫かせました。

薬物と機械を用いた修行

1994年前後になると、オウム真理教は違法薬物の使用を積極的に取り入れ、教義を潜在意識に刷り込む手法を用いるようになりました。「バルドーの悟りのイニシエーション」や「キリストのイニシエーション」などは、催眠状態を経て教義の理解を深めるもので、多くの信者がこれを受けました。また麻原は、記憶を消すために悪用した電気ショック療法を用いて、信者を更に従属させようとしました。

結論

オウム真理教での修行は異常なレベルに達し、肉体的・精神的な極限を試されるものでした。信者はさまざまな洗脳技法を受け、自らの意志を捨てて教団に身を委ねることとなりました。教祖麻原による教義とその教育手法は、信者にとって絶対的なものとされ、脱会を試みることすら困難な状態を生み出していました。こうした背景が、オウム真理教の破壊的性質や事件につながる要因となったことは否定できません。

もう一度検索