オウム真理教附属医院

オウム真理教附属医院について

オウム真理教附属医院（オウムしんりきょうふぞくいいん、英名：Astral Hospital Institute、略称：AHI）は、1990年に東京都中野区に設立されたオウム真理教の医療機関です。この医院では、教団独自の温熱療法やヨーガなどが実施され、病院としての機能を持ちながらも、教団の信者へのサービスや、非合法活動が行われていたことで批判を浴びました。

設立と活動

この医院は、オウム真理教が「病苦からの解放」を掲げ、その活動の一環として開設されました。診療時間は年中無休で、内科、小児科、神経内科、外科、整形外科、精神科、理学診療科、産婦人科と幅広い科目がありました。

これらの診療科の一部は、教団の教義に基づく独自の療法が施されるもので、例えば温熱療法では熱湯に浸ることが行われ、ガージャ・カラニーやネーティ・カルマと呼ばれる療法も実施されていました。しかし、こうした療法は医学的な根拠が薄く、多くの死傷者を出す原因ともなっていました。

非合法活動

医院では、医療法第13条に反して48時間以上の入院が行われ、多くの信者が数ヶ月間にわたり監禁される事例がありました。また、薬剤師リンチ殺害事件などの重大な事件にも関与していました。特に1994年には、宮崎県の資産家がここで監禁され、教団の修行を強要される事件もありました。さらに、ここで行われた治療は、教団の資金集めのための不正請求に利用されることもありました。

院長と医師

この医院の医師たちは、すべて麻原彰晃への深い信仰を持った信者でした。研修医としての経験はない者も多く、医療の専門知識や倫理が欠如していました。林郁夫（クリシュナナンダ）が治療省大臣として医院の運営に関与し、平田雅之（バーラドヴァージャ）や中川智正（ヴァジラティッサ）などが医師として名を連ねましたが、彼らの医療行為は現代医学からかけ離れたものでした。

教団の医療哲学

オウム真理教は「新しい医療」という独自の医療を掲げており、麻原彰晃が作成した治療方針に基づいて様々な施術が行われていました。この医院は、特に慢性病や難病の治療効果を謳い文句にしていましたが、実際には多くの患者の症状を悪化させたり、死亡させる原因となっていました。特に麻原自身が体調を崩すことが多く、その医療的対応が不十分であったことは皮肉な結果とも言えます。

廃止とその後

1995年の麻原彰晃の逮捕を受け、オウム真理教附属医院は同年10月31日に廃止されました。これは、教団に対する社会の目が厳しくなり、公安当局からの厳しい取締りが行われるようになったためです。医院は、単なる医療施設を超え、教団の信者を監禁し、非合法な活動を行う場となったことで、その存在は多くの批判を招いていました。歴史の中で、医学と宗教が交差する複雑な問題を象徴していたこの医院の役割は、今後の医療法人における倫理的な運営に対する教訓として位置づけられることでしょう。

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