オオトカゲ科

オオトカゲ科（Varanidae）

オオトカゲ科は、爬虫綱有鱗目に属する科であり、その多様性と生態的な適応力で知られています。アフリカ大陸、ユーラシア大陸南部、インドネシア、オーストラリア、スリランカ、ソロモン諸島、パプアニューギニア、フィリピンといった広範囲に分布し、砂漠から熱帯雨林まで、様々な環境に適応しています。

分布と生息環境

オオトカゲ科の種は、砂漠のような乾燥地帯から湿潤な熱帯雨林まで、多様な環境に生息しています。地上性の種もいれば、樹上での生活を好む種も存在し、昼行性の活動を行います。

形態

オオトカゲ科には、様々な大きさの種が存在します。最長種はハナブトオオトカゲですが、最大種は体重で勝るコモドオオ[[トカゲ]]で、全長313cm、体重166kgに達します。一方、最小種はV. brevicaudaで、全長はわずか20cmほどです。多くの種は細長い頭部を持ち、吻端が尖っています。眼は大きく、瞳孔はほぼ円形です。特徴的なのは、途中から二股に分かれる舌です。四肢は頑丈で、指趾は5本あります。

分類

オオトカゲ科は、オオトカゲ属 Varanus のみで構成されていますが、いくつかの亜属に分類されます。近年、鱗の形状や微細構造に基づいて、新たな亜属の分類が提唱されています。以下に主な亜属と代表的な種を挙げます。

キイロオオトカゲ亜属 Empagusia：ベンガルオオトカゲ、デュメリルオオトカゲ、キイロオオトカゲなど
マングローブオオトカゲ亜属 Euprepiosaurus：マングローブオオトカゲ、コガネオオトカゲなど
Hapturosaurus 亜属：クロホソオオトカゲ、アオホソオオトカゲ、ミドリホソオオトカゲなど
ヒメオオトカゲ亜属 Odatria：トゲオオオトカゲ、チビオオオトカゲ、スジメヒメオオトカゲなど
パプアオオトカゲ亜属 Papusaurus：ハナブトオオトカゲ
フィリピンオオトカゲ亜属 Philippinosaurus：ビタタワオオトカゲ、マビタンオオトカゲ、グレイオオトカゲ
ナイルオオトカゲ亜属 Polydaedalus：ノドジロオオトカゲ、サバンナオオトカゲ、ナイルオオトカゲなど
サバクオオトカゲ亜属 Psammosaurus：サバクオオトカゲ
Solomonsaurus 亜属: Varanus spinulosus
ミズオオトカゲ亜属 Soterosaurus：ミズオオトカゲ
オニオオトカゲ亜属 Varanus：ペレンティーオオトカゲ、スナオオトカゲ、コモドオオ[[トカゲ]]、レースオオトカゲなど

呼吸

オオトカゲ科は、哺乳類のような横隔膜を持たないものの、喉のポンプ機能によって呼吸を助けています。この機能により、走行中の姿勢変化による肺の圧迫を軽減し、長時間の運動を可能にしています。また、ワニや恐竜と同様に、肺内部の一方通行性の気流が確認されており、効率的な呼吸を可能にしています。

知能

オオトカゲ科は、高い知能を持つことが知られています。ノドジロオオトカゲは6つまでの数を数えることができ、ナイルオオトカゲは協力してワニの巣から卵を略奪することが報告されています。飼育下では、個体ごとに異なる性格が見られ、訓練による条件付けも可能です。研究により、トカゲ類全体が高い知能を持つことが示唆されており、鳥類に匹敵するとも言われています。

毒性

コモドオオ[[トカゲ]]をはじめ、オオトカゲ科には下顎に毒腺を持つ種が存在します。これらの毒は、咬まれた箇所に急速な腫れ、血液凝固の阻止、激しい痛みなどを引き起こし、数時間にわたって苦しめます。コモドオオ[[トカゲ]]の毒性については、かつて細菌感染によるものとする説もありましたが、現在では生来の毒を持つという見解が確立されています。

食性

オオトカゲ科の食性は、そのサイズによって大きく異なります。主に肉食性で、昆虫、甲殻類、陸棲の巻貝、両生類、爬虫類、哺乳類など、口に入るあらゆる生物を捕食します。餌のサイズは、オオトカゲ自身の体格によって決まります。フィリピンオオトカゲ亜属は、果実も食べます。

陸棲種：コモドオオ[[トカゲ]]は、コモド島周辺の頂点捕食者として、中型から大型の哺乳類を捕食します。ペレンティーオオトカゲやハナブトオオトカゲも同様の食性を持ちます。
半水棲種：ミズオオトカゲは、水域の獲物（軟体動物、甲殻類、魚類、水鳥など）を積極的に狙います。漁港のゴミ捨て場や硬い貝類、ワニや鳥類の子供なども捕食します。
死肉食：オオトカゲ科は、狩りだけでなく、死肉を漁ることもあります。コモドオオ[[トカゲ]]は、食物の多くを死肉から得ているという報告もあります。

生態

オオトカゲ科の成体には、大型のネコ科動物やワニ、ヘビなどを除き、天敵はほとんどいません。しかし、天敵に襲われた場合には、発達した脚と呼吸器を利用して逃走します。逃げ切れない場合は、歯、爪、尻尾、毒などの全身の武器を使って反撃します。全身を覆う細かい鱗や皮下の骨質の鎧は、致命傷を防ぐ役割を果たします。半水棲の種は、外敵に遭遇すると水中に逃げ込むことがあります。幼い個体は、共食いを避けるために樹上で生活することが多いです。

繁殖

オオトカゲ科は基本的に卵生で、一度に7〜30個程度の卵を産みます。多くの種は、地面に穴を掘るか、物陰に隠すように産卵します。コモドオオ[[トカゲ]]は、ツカツクリの巣に卵を隠すことが多く、ペレンティーオオトカゲはシロアリの塚に産卵することもあります。コモドオオ[[トカゲ]]では、単為生殖の例も報告されています。

人間との関係

コモドオオ[[トカゲ]]は、人間を襲って食べた例があります。オオトカゲの皮は、革製品に利用されることがあります。開発による生息地の破壊や、皮革目的の乱獲などにより、生息数が減少している種もいます。オオトカゲ属は、ワシントン条約附属書IIに掲載されており、国際的な取引が規制されています。ペットとして飼育されることもありますが、ハナブトオオトカゲとコモドオオ[[トカゲ]]は特定動物に指定されており、飼育には地方自治体の許可が必要です。

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