オサシダ

オサシダ（筬羊歯）

オサシダ（学名：Blechnum amabile）は、シシガシラ科に属する常緑性の多年生草本です。シシガシラに似た葉を持ちますが、一般的には葉を密生させないことが特徴です。

特徴

根茎は地中を這い、葉をまばらに付けますが、短い根茎から葉が束のように生えることもあります。根茎の鱗片は褐色で膜質、卵状披針形から広披針形で、縁には鋸歯がありません。

葉には栄養葉と胞子葉の二種類があります。栄養葉の葉柄は短く、基部までごく小さな羽片が並びます。葉身は披針形で、先端部のみが尾状に伸びます。胞子葉の葉柄は栄養葉よりも長く、淡い褐色から紅紫色を帯びています。葉身は栄養葉よりも細長く、狭披針形です。羽片の中肋は表裏ともに目立ちません。

名前について

和名の由来は、葉の形が機織機のおさに似ていることに由来します。ただし、牧野富太郎は、葉全体の輪郭がおさに似るためであると述べています。

分布

オサシダは日本の固有種であり、本州、四国、九州に分布しています。

生育環境

山地の森林内で、岩の上に生育します。時に群落を形成することがあります。

分類

ヒリュウシダ属には日本に5種ほどがあり、その中でシシガシラが比較的よく似ています。しかし、シシガシラは根茎が短く、多数の葉を束のように出してロゼット状になるのに対し、オサシダは根茎が匍匐性である点で異なります。また、シシガシラの羽片の中肋は表で溝となり、裏に隆起して目立ちますが、オサシダでは目立ちません。さらに、シシガシラは里山にも見られますが、オサシダはより山奥に生育します。

保護の状況

環境省のレッドリストには掲載されていませんが、多くの地域で絶滅危惧種に指定されています。特に東京、高知、福岡では絶滅危惧I類に指定されています。

参考文献

岩槻邦男編、『日本の野生植物　シダ』、(1992)、平凡社
牧野富太郎、『牧野　新日本植物圖鑑』、(1961)、図鑑の北隆館

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