オシエク

オシエク：スラヴォニア地方の中心都市

オシエクは、クロアチアで4番目に大きな都市であり、ドナウ川の支流であるドラヴァ川の右岸に位置しています。スラヴォニア地方の経済・文化の中心地として重要な役割を果たしており、その歴史は古代ローマ時代にまで遡ります。

歴史

古代から中世

オシエクの地には、新石器時代から人々が定住していました。最初にこの地に住み着いたのはイリュリア人でした。ローマ時代には、ハドリアヌス帝がこの地をムルサ・マイオルという植民地として、特別な特権を与えました。しかし、その後、パンノニア平原を舞台としたローマ帝国の戦いの主戦場となり、ムルサは荒廃しました。ローマ人の移住後、クロアチア人がムルサの跡地に定住地を築き、オシエクと名付けました。オシエクという名前は、クロアチア語で「引き潮」を意味するosekaに由来しており、湿地帯の水が溢れるのを避けるために、町を高い場所に築いたことに由来します。

オスマン帝国時代

中世のオシエクに関する記録は多くありません。1526年、オスマン帝国がこの地を征服し、町を徹底的に破壊しました。オスマン帝国は、自分たちの好むやり方で町を再建することに固執したためです。スレイマン1世は、全長8kmにも及ぶ木造の橋をオシエクに架けました。この橋は「スレイマンの橋」として知られています。町が正式に市となったのは17世紀のことです。

ハプスブルク時代

1687年、オシエクはハプスブルク帝国に占領され、西側の支配下に戻りました。1712年から1721年にかけて、オーストリアの権力者は、トヴルジャと呼ばれる新しい要塞を建設しました。この要塞は、オシエクの旧市街として知られています。中央にある三位一体広場は、北側を軍司令部の建物、西側を主要警備隊の建物、東側を行政長官官舎（現在はスラヴォニア博物館）で囲まれています。広場の中央には、1729年に建てられたペストの記念碑が立っています。1809年、オシエクは帝国自由都市の特権を授かりました。19世紀初頭には、クロアチア最大の都市となり、ウィーンやブダ[[ペスト]]からの影響を受け、文化、建築、社会経済が発展しました。

20世紀

20世紀に入り、オシエクは観光地として発展しました。特に、バロック様式のトヴルジャは、文化遺産として知られています。しかし、1991年から1995年のクロアチア独立戦争では、オシエクも被害を受けました。市街への爆撃により、多くの市民が犠牲となり、建物も損傷しました。近年、ファサードの修復が進められ、旧市街のバロック建築の魅力が取り戻されています。

みどころ

オシエクは、バロック様式の町並み、要塞、ドラヴァ川沿いの遊歩道など、多くの観光スポットがあります。また、クロアチア民族音楽で使われる楽器タンブリツァの音楽祭が、毎年5月に開催されます。夏には、夜祭りが開催され、地元の料理を楽しむことができます。ドラヴァ川周辺では、狩猟や釣りも楽しめます。

食文化

オシエク地域は、美食の都として知られています。伝統的なスラヴォニア料理（クレンというパプリカ風味のソーセージ、ハム、シカ肉料理、パプリカを用いた魚のスープなど）が楽しめます。また、地元ビールのブランド、オシエチコとエッセケルがあります。バラニャ地方特産のワインもおすすめです。

交通

オシエクは、鉄道、高速道路の接続点であり、川港やオシエク空港もあります。鉄道は、ザグレブ、リエカ、ポジェガ、ヴィロヴィティツァ、ナシツェ、スラヴォンスキ・ブロドなどへの路線があり、ハンガリーへ向かう路線とも接続されています。ブダ[[ペスト]]、サラエヴォ行きの列車も停車します。

オシエクは、その豊かな歴史と文化、美しい街並み、そして美味しい料理で、訪れる人々を魅了する都市です。

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