オスカー・ウェルナー

オスカー・ウェルナー

オスカー・ウェルナー（Oskar Werner、1922年11月13日 - 1984年10月23日）は、オーストリア出身の名優であり、特に1960年代のヨーロッパ映画でその存在感を放ちました。 ウィーンに生まれ育った彼は、幼少期を祖母のもとで過ごし、18歳で舞台監督に誘われて演劇の世界に足を踏み入れました。しかし、まもなくして彼は第二次世界大戦に徴兵されます。ウェルナーはナチズムに強く反対し、平和主義者であったため、徴兵検査では意図的に不合格となり、戦場から逃れるために雑用に従事しました。

俳優としての活動

戦後、彼は女優のエリザベス・カリーナと結婚し、子供にも恵まれました。その後、ウィーンに戻り、再び俳優業をスタートさせます。彼はその白い肌と整った顔立ち、金色のさらさらした髪で知られ、特に1960年代には数々の作品で輝きを放ちました。 ヌーヴェルヴァーグの波が押し寄せる中、フランソワ・トリュフォー監督とのコラボレーションが多く、彼の独特の演技スタイルは観客の心を掴みました。

ウェルナーの代表作には、トリュフォー監督の『突然炎のごとく』や、ジュリー・クリスティと共演した近未来のSF映画『華氏451』があります。特に『華氏451』は日本でも広く知られていますが、撮影中にトリュフォーとの間で意見の対立が生じ、結果的に彼の作品への出演はこれが最後となりました。

1965年には、ヴィヴィアン・リーと共演した『愚か者の船』でアカデミー主演男優賞にノミネートされ、彼の名は一層広まりました。さらに1968年の『しのび逢い』では、知的なオーケストラの天才指揮者を演じる役に挑戦しましたが、悲恋映画では多くの場合、冷たく女性を振る役柄が目立ち、「女性の敵」といった印象を与えることもありました。

私生活と最晩年

ウェルナーは結婚を二度経験しており、最初の妻とは1952年に離婚し、その後1960年代にアナベラの娘であるアンヌ・パワーと再婚しましたが、最終的には1968年に再び離婚しました。彼の私生活は波乱に満ちており、アルコール依存症にも悩まされ、健康状態は次第に悪化していきました。

1970年代以降は映画の出演作が急減しましたが、舞台での活動や、1975年にはテレビドラマ『刑事コロンボ』に出演するなど唯一のテレビ作品もありました。1976年には映画『さすらいの航海』で重要な役を演じることになります。

1984年10月23日、ドイツのホテルで心臓発作によって享年61歳で亡くなったことが明らかになりました。彼の死は、トリュフォーが亡くなったわずか2日前のことでした。ウェルナーの残した作品は、今も多くの人々に愛され、彼の名は映画史に刻まれています。

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