オズの魔法使い (1974年のテレビドラマ)

1974年版テレビドラマ『オズの魔法使い』：昭和レトロな魔法の世界

1974年10月5日から1975年3月29日にかけて、日本テレビ系列で放送されたテレビドラマ『オズの魔法使い』。本田技研工業の一社提供番組として放送され、全26話に渡る物語は、多くの視聴者の心を掴みました。本作品は、原作を忠実に再現したものではなく、独自の解釈を加えた、新たな『オズの魔法使い』として制作されました。

斬新な試み：立体映像と音楽

このドラマ最大の特徴は、第5話から導入された立体映像です。赤と緑の眼鏡を使用することで、視聴者はより臨場感あふれるオズの世界を体験することができました。当初は数分間の挿入でしたが、視聴者からの強い要望を受け、第15話では約10分間の立体映像が放送されました。これは、当時としては画期的な試みであり、多くの話題を呼びました。

音楽面でも、このドラマは独自性を発揮しています。エンディングテーマには「虹の彼方に」が採用されましたが、シェリーによる歌唱は、アップテンポで現代的なアレンジが施され、オリジナルとは異なる魅力を放っていました。作詞は水島哲、編曲は山本直純が担当しました。他にも、寺山修司作詞による主題歌「オズの国の唄」や挿入歌など、多くの楽曲が制作され、ドラマの世界観を彩りました。これらの楽曲は、日本ビクター（現：JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント）から発売されたLPレコード『シェリー オズの魔法使い』に収録され、同レコードには立体メガネが付属していました。

キャストとスタッフ：豪華な顔ぶれ

主演のドロシー役には、当時人気絶頂だったシェリーが抜擢されました。ライオン役には佐藤博、ブリキマン役には常田富士男、かかし役には高見映など、個性豊かな俳優陣が脇を固めました。また、魔女役には千石規子、オーディン役には天本英世といったベテラン俳優も出演し、作品に深みを与えています。

監督には近藤久也、重延浩、監修には寺山修司と、豪華なスタッフ陣も大きな話題となりました。脚本は汀浩、足立明、澪二郎らが担当し、音楽は松井八郎が担当しました。その他、振付、特殊メイク、美術、効果など、多くのスタッフがそれぞれの才能を結集して、このドラマを作り上げました。制作にはテレビマンユニオンと日本テレビが携わっています。

原作からの変更点：トトのキャラクター

原作では犬であるトトは、このドラマではネズミに変更され、山崎唯が声を担当しています。山崎唯が主演していた人形劇『トッポ・ジージョ』を意識していたという指摘もあります。この変更は、ドラマ独自の解釈によるものであり、原作とは異なる魅力を生み出しています。

放送とコミカライズ

『オズの魔法使い』は日本テレビ系列で全国各地で放送されました。放送時間は、地域によって多少異なりましたが、多くの視聴者がこのドラマを楽しんだことは間違いありません。

さらに、秋津わたる（細井雄二）によるコミカライズ版が月刊誌『テレビランド』で連載されるなど、メディアミックスも展開されました。

まとめ

1974年版『オズの魔法使い』は、立体映像という斬新な技術を取り入れ、個性豊かなキャストとスタッフ、そして魅力的な音楽によって彩られた、昭和を代表する名作ドラマです。現代においても、その独特の世界観と完成度の高さは、多くの視聴者を魅了し続けています。当時を知る世代には懐かしい思い出を、そして若い世代には新鮮な驚きと感動を与える、まさにタイムレスな魅力を持つ作品と言えるでしょう。

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