オックス

オックス：狂騒のGSバンド、その光と影

オックスは、1968年にデビューしたグループ・サウンズ（GS）バンドで、その過激なパフォーマンスから「失神バンド」として知られています。メンバーやファンがステージ上で失神するほどの熱狂的なライブが話題を呼び、社会現象にまで発展しました。しかし、その人気は長くは続かず、メンバーの脱退や音楽性の変化を経て解散に至りました。

バンド結成と初期の活動

オックスの結成は1967年秋に遡ります。キングスの元メンバーであった福井利男と岩田裕二が、大阪のサパー・クラブ「レンガ」の経営者である清水芳夫と共にメンバーを集め始めました。キングスは、関西で活動していた最古参のエレキバンドで、1967年2月に上京しますが、福井と岩田はレコードデビュー前に脱退。その後、清水と相談し、新たなバンドを結成するためにメンバーを探し始めました。

まず、京都のダンス喫茶「田園」で演奏していたマッコイズのギタリスト杉山則夫とドラマー岡田志郎が参加しました。さらに、大阪のダンスホール「富士」で活動していたハタリーズのオルガニスト赤松愛と、歌手の野口ヒデトが加わりました。当初、野口と赤松は参加に難色を示しましたが、最終的にはオックスに合流しました。一時、栗山純がボーカルを務めていましたが、赤松の承諾を得て、6人編成で活動を開始しました。

デビューと「失神」パフォーマンス

猛練習を重ねたオックスは、1968年1月に大阪「ナンバ一番」でのステージで人気を集めました。この評判を聞きつけた野口ヒデトが正式メンバーとなり、オックスは本格的な活動を開始します。初期のステージでは、野口と栗山が過激なパフォーマンスを披露していましたが、メンバーチェンジを経て、野口、赤松を中心とした現在の形となりました。

1968年5月5日、デビュー曲「ガール・フレンド」をリリース。同時に、ジャズ喫茶でのライブパフォーマンスは、ステージ上でメンバーが失神するという衝撃的なもので、ファンを熱狂させました。このパフォーマンスは瞬く間に話題となり、オックスは「失神バンド」としてその名を轟かせるようになりました。

赤松の脱退とメンバーチェンジ

1969年5月、オルガン担当の赤松愛が突然失踪し、バンドは存続の危機に陥ります。赤松は、個性がないことや給料の低さに不満を抱いていたと主張しました。後任として、田浦久幸（後の夏夕介）が加入しますが、赤松の人気が高かったこともあり、ファンからの反発も少なくありませんでした。

音楽性の変化と解散

メンバーチェンジ後、オックスの音楽性は変化し、ニューロックと呼ばれるジャンルにも挑戦しました。しかし、この変化は、初期のオックスを支持していたファン層には受け入れられず、人気は徐々に下降していきました。また、グループサウンズのブーム自体が終焉に向かっていたことも、解散の大きな要因となりました。

1971年1月、オックスは解散を表明し、同年5月、池袋ACBでの公演をもって、3年間の活動に終止符を打ちました。

解散後のメンバーの活動

解散後、野口ヒデトは真木ひでととして演歌歌手に転身し、ヒット曲を出すなど成功を収めました。また、田浦幸は夏夕介として俳優に転身し、活躍しました。

その他のメンバーも、音楽活動を続けるなど、それぞれの道を歩みました。

まとめ

オックスは、グループ・サウンズ全盛期に「失神バンド」として一世を風靡したグループです。過激なパフォーマンスと熱狂的な人気の一方で、社会問題化やメンバーの脱退、音楽性の変化を経て解散しました。しかし、その強烈なインパクトは、日本の音楽史に深く刻まれています。

メンバー

福井利男（リーダー、ベース）
野口ヒデト（ボーカル）
赤松愛（オルガン・ボーカル）
岩田裕二（ドラムス）
岡田志郎（ギター）
田浦幸（オルガン）

ディスコグラフィー

シングル

ガール・フレンド／花の指環 (1968)
ダンシング・セブンティーン／僕のハートをどうぞ (1968)
スワンの涙／オックス・クライ (1968)
僕は燃えてる／夜明けのオックス (1969)
ロザリオは永遠に／真夏のフラメンコ (1969)
神にそむいて／夜明けの光 (1969)
許してくれ／ジャスト・ア・リトル・ラブ（1970）
僕をあげます／花の時間（1970）
もうどうにもならない／ふりむきもしないで（1970）

アルバム

オックス・ファースト・アルバム (1968)
テル・ミー／オックス・オン・ステージNO.1 (1969)

メディア出演

天使の誘惑 (1968)
落葉とくちづけ (1969)
女番長野良猫ロック (1970)

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