オドの力

オドの力：未知のエネルギーの探求

「オドの力」とは、19世紀のドイツの化学者カール・フォン・ライヘンバッハが提唱した、未知のエネルギー概念です。ドイツ語では「Lebenskraft Od（オドの生命力）」、英語では「Odic force」と呼ばれます。日本では、オド、オドの力、オド・パワーなどと表現されます。

オドの力の概要

ライヘンバッハは、宇宙に存在するすべてのもの、特に星々や惑星、水晶、磁石、人間などから、未知の物質が発出されていると考えました。彼はこの物質を、北欧神話の神オーディンにちなんで「オドの力」と名付けました。

オドの力には重さも長さもありませんが、計測が可能であり、観察可能な物理的効果を及ぼすことができるとされました。18世紀のメスメルが提唱した動物磁気（メスメリズム）のように、磁石などを通して伝導することができ、極性を持つと考えられました。

ライヘンバッハによる研究

1845年、ライヘンバッハは電磁界とよく似た特性を示す「オドの力」と呼ばれるフィールドの理論を、ドイツの一流学術誌『薬学及び化学の年報』で発表しました。オドとは、様々な結晶構造を持つ物体から発散される、未だ知られていない自然の力であるとされました。

ライヘンバッハは、オドが磁極のように互いを引きつける力の特性を有しており、磁極もまたオドと関連する極性を持つと主張しました。彼は、オドが人間の身体に水晶の力に似た極性を生み出すことを発見したと述べました。彼の主張によれば、身体の生命力には磁石のような極性があり、身体の左側が負、右側が正であるとされました。さらに、オドは動物や植物からも発散されており、太陽や月などの星々からも発散されていると発表しました。

当時の影響と現代的評価

これらの理論は、現代では疑似科学と見なされています。しかし、当時は科学として扱われ、科学者やメスメリストの注目を集め、広く影響を与えました。オドの力の概念は、当時の科学界におけるエネルギーや生命力に対する探求の一環として、重要な役割を果たしたと言えるでしょう。

参考文献

藤島啓章『異次元エネルギーの系譜』福昌堂、2000年。
井村宏次『スーパーサイエンス』新人物往来社、1992年。
カール・フォン・ライヘンバッハ『神秘のオド・パワー』井村宏次・訳、日本教文社、1987年。

関連項目

疑似科学
エネルギー
生命力
生気論
気

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