オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ

オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ

1950年代から活動を開始したビートルズが、1968年にリリースした「オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ」は、アルバム『ザ・ビートルズ』（通称ホワイト・アルバム）に収録された名曲です。この楽曲はポール・マッカートニーによって書かれ、作曲者名はレノン＝マッカートニーとされています。興味深いことに、ビートルズが活動していた当時、イギリスやアメリカではシングルとしてはリリースされなかったのですが、オーストラリア、日本、ニュージーランド、スイス、西ドイツなどではシングルとして発表され、これらの国で多くのヒットチャートの首位を獲得しました。アメリカでは1976年にシングルが発売され、Billboard Hot 100にて最高49位を記録しました。

作曲の背景

ポール・マッカートニーは、1968年の2月にインドのリシケーシュを訪れた際、現地での合唱会の経験を通じてこの楽曲のアイデアを思いつきました。この曲のタイトルにも使用された「オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ」というフレーズは、ナイジェリア人のコンガ奏者であるジミー・スコットがよく口にしていた言葉です。マッカートニーは、スコットからインスパイアを受けながら、楽曲の構成や内容を展開させていきました。歌詞は、デズモンドという市場で働く男性と、歌手のモリーとの恋物語を描いたもので、ストーリー性が感じられるものになっています。彼自身が「ボクらしい曲」と表現するこの作品には、珍しさと親しみやすさが共存しています。

レコーディングとアレンジ

「オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ」のレコーディングは、1968年5月にハリスンの家で始まり、初期のバージョンではスコットのコンガが使用されていましたが、最終的に除外されました。7月には正式な録音が行われ、様々な楽器が取り入れられたアレンジが試みられました。特にジョン・レノンは、マッカートニーがイメージしていたジャマイカ風のサウンドを共に再創造する役割を果たし、彼のピアノのフレーズが楽曲の雰囲気を大きく変えました。

リリースと反響

この楽曲は、1968年11月22日に『ザ・ビートルズ』の収録曲として公式にリリースされましたが、実際にはシングルとしてはイギリスやアメリカで発売されることはありませんでした。しかし、他の国々での発表や後年の再リリースを通じて広がりを見せ、多くのアーティストによってカバーされ続けています。スコットランドのバンド・マーマレードによるカバーは、1969年に全英シングルチャートでの首位を記録し、ビートルズのオリジナルに続くヒットとなりました。

評価と影響

世代を超えて愛されてきた「オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ」は、その軽快なリズムとキャッチーなメロディから高い評価を受けました。特に2004年の投票で「最悪の曲」として選ばれた一方で、2019年に行われたコード進行の研究からは「史上最も完璧なポップ・ソング」と評価されるなど、楽曲の魅力は絶えず更新されています。ビートルズはこの楽曲を通じて日常の中の幸せを歌い上げ、多くのリスナーに共感を与えました。

『オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ』は、ビートルズの音楽的な多様性と彼らの影響力を示す象徴的な作品として、今もなお世界中で親しまれています。

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