オペラ (ケーキ)

オペラとは

オペラは、フランスを代表するガトーショコラの一種で、四角い形状が特徴的なケーキです。高さは約2センチメートル程度で、複数の層が重なり合って構成されています。一般的には7層構造が基本とされますが、作り手によって層の数は異なります。各層は、コーヒーシロップを染み込ませたビスキュイ・ジョコンド（アーモンドと小麦粉を混ぜて焼いた生地）、コーヒー風味のバタークリーム、チョコレートと生クリームで作るガナッシュで構成されており、表面は硬いチョコレートで覆われています。

表面にはチョコレートで「opéra」と文字が書かれ、金箔を散らして装飾されることもあります。その美しい見た目と、口の中で複雑に絡み合う様々な風味のハーモニーが、多くの人々を魅了しています。

オペラの歴史

オペラの起源は、1949年にダロワイヨ社を買収したシリアック・ガヴィヨンによって、その数年後に開発されたとされています。ダロワイヨ社は、オペラの誕生年を1955年としています。名前の由来については諸説あり、ダロワイヨの近くにオペラ座があったため、またはダロワイヨを訪れるバレリーナや練習生に捧げたとする説があります。また、パリ・オペラ座の屋根にある金のアポロン像をイメージして、金箔を飾ったとも言われています。

しかし、大森由紀子氏の研究によると、ダロワイヨ以前に「マルセル・ビュガ」というパティスリーがオペラの原型となるお菓子を作っていたと指摘されています。マルセル・ビュガは、ルイ・クレシーというパティシエから店を譲り受け、「クリシー」というお菓子をホームパーティーで振る舞ったところ、ビュガの親戚であったダロワイヨのオーナーがそれを気に入り、「オペラ」と名前を変えて販売し始めたとされています。

また、『世界 たべもの起源事典』では、オペラ座の近くの菓子店が創作したという説も紹介されています。

オペラは、その美しい見た目と上品な味わいで世界中に広まり、「不滅の銘菓」と称されるようになりました。パリのダロワイヨ本店では、サヴァランと並んで人気商品で、1日に平均800個から1200個が販売されています。

近年では、抹茶味のオペラも登場し、日本風のオペラとして「Kabuki（歌舞伎）」と呼ばれることもあります。ダロワイヨの日本法人では、「オペラ」をアレンジした常温保存可能な焼き菓子「オペラ トーキョー」を販売しており、贈答品として人気を集めています。

オペラの評価

オペラは、その複雑な構造と手間のかかる製造工程から、菓子職人にとって究極の目標の一つとされています。

料理雑誌の編集長は、オペラについて「非常に手間がかかる上、層が美しいかどうかが一目瞭然なので、とても神経を使うケーキ」と評しています。また、ある専門家は「オペラは層の美しさを競うお菓子であり、一段一段乱れなく均等に重ねられた、隙のないエレガントさこそが重要である」と指摘しています。しかし、層の美しさにこだわるあまり、一つ一つの層がバラバラになってしまい、崩れてしまうオペラになりがちだと述べています。

製菓学校では、「Opéra」の文字をチョコレートソースで書く試験が課されることもあり、その技術力が試されます。

まとめ

オペラは、その美しい層構造と複雑な味わい、そして背後にある歴史と職人たちの情熱が詰まった、まさに芸術品のようなお菓子です。その名前はパリのオペラ座に由来するとされ、その豪華絢爛なイメージがこのお菓子にも反映されています。

現在では、世界中の多くのパティスリーでオペラが作られており、その多様なバリエーションを楽しむことができます。

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