オペラ座/血の喝采

オペラ座/血の喝采

『オペラ座/血の喝采』は、イタリアの映画監督ダリオ・アルジェントが1987年に手掛けたジャッロ（イタリア製スリラー・ホラー）作品です。原題は『Opera』。アルジェント監督の中期における代表作の一つとして知られ、彼の代名詞である鮮烈な色彩感覚や美術、ゴア描写が遺憾なく発揮されています。

あらすじ

物語は、新進気鋭の若手女優ベティが、ミラノのスカラ座で上演されるジュゼッペ・ヴェルディ作曲のオペラ『マクベス』の主役に抜擢されることから始まります。この『マクベス』は、オペラ界では上演すると不幸を招くと囁かれる不吉な曰く付きの作品であり、実際にベティが代役となったのも、当初主役を務める予定だった女優が交通事故で重傷を負ったためでした。

当初は主演という重責とオペラへの不安から躊躇するベティでしたが、周囲の熱意と自らのキャリアを築きたいという強い想いから、舞台に立つことを決意します。

しかし、舞台初日。恐れていた通りか、不吉な出来事が起こり始めます。劇場内で照明係が何者かに襲われ、凄惨な手口で殺害される事件が発生。さらに、ベティ自身にも悪夢のような恐怖が襲い掛かります。

ある夜、恋人である助監督のステファノの自宅にいたベティは、犯人の侵入を許してしまいます。ベティは拘束され、そして犯人は彼女のまぶたの下に針を貼り付け、強制的に目を開けさせた状態で、目の前でステファノが惨殺される光景を見せつけます。

その後も劇場の衣装係が犠牲になるなど、次々と関係者が殺されていきます。自身の命も狙われていることを悟ったベティは警察に保護を求め、サンティーニ警部が護衛をつけますが、犯人はそれを嘲笑うかのように再び現れ、ベティの護衛の警官とエージェントまでも手にかけます。

絶望の淵に立たされたベティは、演出家のマークに助けを求めます。犯人がオペラ公演を観覧していると推測したマークは、舞台を利用して犯人を誘い出すある大胆な作戦を決行することを提案します。

制作背景と特徴

ダリオ・アルジェント監督は、独特の撮影技術や照明、効果音を駆使し、観客を主人公の視点とシンクロさせることで、極限の恐怖と緊張感を生み出す手法を得意としています。本作でも、特にベティが強制的に惨劇を目撃させられるシーンでのクローズアップやカメラワークは、観る者に強烈な不快感と恐怖を植え付けます。

音楽にはクラウディオ・シモネッティ、ビル・ワイマン、ブライアン・イーノ、テリー・ライリーといった多彩なアーティストが参加しており、オペラの荘厳な響きと現代的なサウンドが融合し、作品の不穏な雰囲気を高めています。

映像ソフト

本作は日本において、長らく一部のグロテスクなシーンがカットされたバージョンで流通していましたが、2014年には約12分もの未公開シーンを追加収録した「完全版」としてDVDおよびブルーレイが株式会社エクリプスより発売され、ファンを歓喜させました。この完全版ブルーレイは現在廃盤となっています。さらに、2024年3月にはキングレコードより4Kリマスター版のブルーレイが発売され、高画質で再び観られる機会が提供されています。

スタッフ

監督：ダリオ・アルジェント
製作：ダリオ・アルジェント、マリオ・チェッキ・ゴーリ、ヴィットリオ・チェッキ・ゴーリ
脚本：ダリオ・アルジェント、フランコ・フェリーニ
撮影：ロニー・テイラー
音楽：クラウディオ・シモネッティ、ビル・ワイマン、ブライアン・イーノ、テリー・ライリー
特殊効果：セルジョ・スティバレッテ

この作品は、アルジェント監督のキャリアにおいても非常に挑戦的な作品であり、特に有名な目の演出など、観る者に強い印象を与えるシーンが多く、ジャッロ映画の歴史において語り継がれる一作となっています。

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