オラスコム・テレコム

オラスコム・テレコムについて

オラスコム・テレコム（Orascom Telecom Holding S.A.E.）は、エジプトを本拠地として設立された通信事業者です。この企業はオラスコム・グループの一部であり、1998年に設立以来、中東、アフリカ、南アジアの通信市場で幅広いサービスを提供してきました。その後、2013年9月にグローバル・テレコム（Global Telecom Holding SAE）に改名し、現在はオランダのアムステルダムに本社を置くVeonの傘下に入っています。オラスコム・テレコムは「Giving the World a Voice」というスローガンを掲げ、多様な地域で通信の進展を目指しています。

OTMTと関連事業の展開

オラスコム・テレコムの元会長であるナギーブ・サウィーリスは、新たにオラスコム・テレコム・メディア・アンド・テクノロジー（OTMT）という持株会社を設立し、自ら会長に就任しました。OTMTはオラスコム・テレコムが展開していた一部事業、特に北朝鮮における通信関連のビジネスを引き継ぐこととなります。

北朝鮮においては、オラスコム・テレコムは2008年に移動通信事業権を獲得しました。これをもとに、北朝鮮の逓信省との合弁で「Koryolink」というブランド名の携帯通信サービスを設立しました。当初、同社はKoryolinkに対する独占事業権を2015年まで保有していましたが、その後は影響力を次第に失っていきました。

Koryolinkの運営状況

2015年以降、オラスコム・テレコムはKoryolinkの運営に関する財務報告から、同事業への影響力が低下していることが明らかになりました。さらに、2016年にはグループの子会社であるオラバンクが北朝鮮での金融業務からの撤退を決定しました。携帯通信事業においても、競争環境が変化し、北朝鮮当局の支援を受ける他社の「強盛ネット」や「ピョル」との競争が厳しくなりました。特に2017年には、Koryolinkによるサービスが中止され、撤退手続きが進められることとなったという報道もあります。

さらに深刻な問題は、Koryolinkからの収益金約6億ドルが北朝鮮当局により海外送金ができない状況にあることです。このような状況は、オラスコム・テレコムおよびOTMTのビジネスモデルに大きな影響を与え、今後の事業戦略にも重要な要素となることでしょう。

オラスコム・テレコムのケースは、国際的な通信事業が時として政治的および経済的な要因によってどれほど影響を受けるかを象徴しています。企業が新たな市場に進出し、そこで独自のビジネスを築く際には、それぞれの国の特性や規制、競争環境を十分に理解することが一層重要です。これからのオラスコム・テレコムの動きにも注目したいところです。

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