オリオン座シグマ星

オリオン座σ星の概要

オリオン座σ星は、オリオン座に位置する4等星で、多重星系の一部を形成しています。約1150光年の距離にある星団に所属しており、この星団は、複数の褐色矮星が存在すると推測されています。星団全体は、あの有名な「Orion OB1 association」に分類されています。

星系の構造

この星系の主な構成要素として、主系列星であるAとBがあります。これらの星は数百万年前に誕生し、互いに非常に近い距離で存在しています。具体的には、AとBは離角がわずか0.25秒で、約90天文単位（au）離れています。そして、このペアの周回周期は約170年と推定されています。

さらに、DはB型主系列星であり、Eは少し異なる構造を持っています。EはB型主系列星のE1とA型主系列星のE2からなる連星系であり、特にE1は「ヘリウム過剰星」として知られています。E1のスペクトル型はB2Vpeで、表面温度は18,000から20,000Kに達します。この星は、その特異なスペクトルに輝線が現れることを特徴としており、太陽の組成に比べて2から10倍のヘリウムを含んでいると考えられています。

磁場と自転

また、E1は数百ガウスから数キロガウス（G）の強い磁場を持っており、この磁場は自転軸と一致しているとみられています。ヘリウムの異常な組成は、星の自転速度や磁場、さらには星周物質との相互作用によって影響を受けていると考えられています。

星の配置と運動

この星系における星々の配置について、AとBからの距離として、Cは3,900 au、Dは4,600 au、E星系は15,000 au離れています。AとBの軌道運動は比較的安定ですが、他の3つの星は必ずしもそうではありません。これらの星は星系から離脱する可能性があり、恒星の寿命が尽きる前に、その速度が増すことが予想されています。

超新星爆発の予測

最終的には、Aが最初に超新星爆発を起こすと考えられています。この爆発によって、Aはその役目を終えます。その後、Bも続いて超新星爆発を引き起こす可能性があります。これにより、残りの3つの星は白色矮星へと進化する見込みですが、Aの超新星爆発によってBが星系から追放される可能性もあると推測されています。

結論

オリオン座σ星は、多様な成分からなる魅力的な星系であり、その研究は天文学において重要な意味を持っています。この星系の詳細な観測と理解は、恒星進化や星団の性質を探求する上で貴重な手がかりとなるでしょう。

もう一度検索