オリジナル10

オリジナル10とは

オリジナル10（オリジナルテン）は、1992年に発足した日本プロサッカーリーグ（Jリーグ）の初年度に加盟した10のクラブを指す愛称です。これらのクラブは、日本のサッカーを支え続ける名門として知られています。この呼称は、公式な場やメディアでも用いられますが、発祥や命名についての詳細は不明です。

Jリーグ発足前の背景

Jリーグが開幕する以前、10クラブの内で唯一清水エスパルスを除く9クラブは日本サッカーリーグ（JSL）に所属していました。また、鹿島アントラーズを除く他の8クラブはJSLの1部に位置していました。1999年には横浜フリューゲルスと横浜マリノスが統合し、現在のオリジナル10の中では9クラブが存続しています。

選定の経緯

Jリーグのスタートに際し、川淵三郎初代チェアマンを筆頭に準備メンバーは、クラブの法人化、ホームタウンの確立、ナイター設備を備えた収容人数1万5000人以上のスタジアムの確保、18名以上のプロ選手との契約、そして下部組織の運営といった7つの参加要件を制定しました。当時は多くのサッカーチームが企業の傘下に存在し、これらの基準は高いハードルと見なされましたが、1990年6月時点で20団体が加盟を希望しました。

最初は8クラブ程度に絞る計画でしたが、求める団体が予想を上回ったため、最終的に初年度の参加クラブを10に増やす決定が下されました。地域バランスを考慮し、JSL1部の古河電工（東日本JR古河）、三菱自工、読売クラブ、日産自動車、全日空（全日空佐藤工業）、トヨタ自動車、松下電器、マツダの8クラブが内定しました。残った2枠では清水市民クラブ、ヤマハ発動機、ヤンマー、日立製作所、フジタ、住友金属の6クラブが争いました。

清水市民クラブは、母体である清水FCが静岡県リーグの4部に所属していたことから戦力が懸念されましたが、1991年に完成した日本平運動公園球技場があったことなど、他の参加要件では大きなアドバンテージを持っていました。これにより、清水市民クラブが1枠を獲得しました。

残る1枠は、天皇杯優勝経験のあるヤマハ、ヤンマー、日立、フジタに選ばれることが期待されましたが、JSL2部の住友金属が参加を望みました。当時の川淵は住友金属の加盟は難しいと公言しましたが、住友金属の幹部たちがあきらめずに努力した結果、茨城県知事が1万5000人収容の屋根付き専用スタジアムを建設することを約束したことが決定的な要因となり、住友金属が最後の枠に選ばれる優遇措置を受けました。

不選定クラブとその後の動向

選考で落選したヤマハ（後のジュビロ磐田）、ヤンマー（セレッソ大阪）、日立（柏レイソル）、フジタ（後の湘南ベルマーレ）は、その後、ジャパンフットボールリーグ（旧JFL）を経て、1995年までにJリーグに参入しました。また、1991-1992年のシーズンにはJSL1部に所属していた12クラブの中で、初年度加盟の8クラブとヤマハ・日立を除く2クラブ、東芝と本田技研工業はJリーグへの参加を希望せず、旧JFLでの活動を継続しました。東芝は北海道に移転し、コンサドーレ札幌として1998年にJリーグに加盟しました。一方、本田技研工業は2024年現在もJリーグに参入していません。

現在の状況

2023年現在、オリジナル10のクラブの中で、J2降格の経験がないのは鹿島アントラーズと横浜F・マリノスの2クラブだけです。このように、オリジナル10は現代の日本サッカーにおいても重要な役割を果たし続けています。

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