オリンピックの独立参加選手団

オリンピック独立参加選手団とは

オリンピックの独立参加選手団（Independent Olympic Participants / Independent Olympic Athletes）は、特定の国が何らかの事情により国内オリンピック委員会（NOC）を設立できていない、または国際オリンピック委員会（IOC）からの制裁を受けている場合に、その国の選手がオリンピックに出場するための特別な措置として結成されるチームです。

特徴

国家代表ではない: 独立参加選手団の選手は「国家を代表する選手」とは見なされません。
表彰: 表彰式では、通常の国旗・国歌の代わりに、オリンピック旗とオリンピック賛歌が使用されます。

独立参加選手団が結成された例

過去に様々な理由で独立参加選手団が結成されています。

1992年バルセロナオリンピック: ユーゴスラビア紛争によりユーゴスラビアオリンピック委員会が制裁下にあったため。
2000年シドニーオリンピック: 東ティモール独立時、NOCが未設立であったため、「個人参加選手団（Individual Olympic Athletes）」という名称が使用されました。
2012年ロンドンオリンピック: オランダ領アンティルの解体および南スーダンの独立によりNOCが未設立であったため。
2014年ソチオリンピック: インド政府の干渉が原因でインドオリンピック委員会が制裁下にあったため。ただし、開催中に制裁が解除されたため、閉会式では「インド選手団」として参加しました。
2016年リオデジャネイロオリンピック: クウェート政府の干渉が原因でクウェートオリンピック委員会が制裁下にあったため。
2018年平昌オリンピック: ロシアにおけるドーピング問題によりロシアオリンピック委員会が制裁下にあったため、独立参加選手団に準じた扱い（五輪旗・五輪賛歌を使用）で「ロシアからのオリンピック選手団」として参加しました。

その他の例

独立参加選手団以外にも、「国家を代表しないオリンピック選手団」が結成された例がいくつか存在します。

混合チーム: オリンピック初期の1896年から1904年まで存在しました。
1980年モスクワオリンピック: ソ連のアフガニスタン侵攻への抗議として西側諸国でボイコットが起こりましたが、参加した国の選手団も国旗を使用せず五輪旗を使用しました。イギリスは政府の後援を得られず、NOCが独自に選手を派遣しました。
EUN選手団: 1992年の第25回夏季オリンピックおよび第16回冬季オリンピックのみ存在。ソビエト連邦の崩壊により、当該各国のNOCが未承認だったことが理由です。
ROC選手団: ロシアが国としての出場を認められなかったものの、ロシアオリンピック委員会（ROC）の名前で参加する選手団です。2020年東京オリンピックと2022年北京オリンピックで結成されました。五輪旗・五輪賛歌ではなく、独自の旗と楽曲を使用しました（2020年東京オリンピックではチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番）。
AIN選手団: 2024年パリオリンピックで結成された独立選手団。
難民選手団: 紛争や迫害により国を追われた難民選手で構成されるチームです。2016年リオデジャネイロオリンピック、2020年東京オリンピック、2024年パリオリンピックで結成されました。

これらの選手団は、様々な困難を乗り越えてオリンピックの舞台に立つアスリートたちに、国籍や政治的な状況を超えたスポーツの精神を体現する機会を与えています。

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