オルランド (映画)

『オルランド』：性別と時代を超える、永遠の命の物語

1992年公開のイギリス映画『オルランド』（Orlando）は、ヴァージニア・ウルフの同名小説を原作とする歴史ファンタジー作品です。サリー・ポッター監督の手によって、原作の世界観を独自の視点で鮮やかに映像化しています。アカデミー賞では美術賞と衣裳デザイン賞にノミネートされるなど、高い評価を獲得しました。英国アカデミー賞ではメイクアップ賞、ヨーロッパ映画賞では新人監督賞を受賞しています。

若さと永遠の命、そして性転換

物語は、16世紀末のイングランドで幕を開けます。主人公オルランドは、エリザベス1世から永遠の命と若さを与えられた貴公子です。彼は、ロシアの皇女との儚い恋や詩作への挫折を経験し、イングランドを離れて東洋に赴任。そこで出会った王との親交を深めます。

その後、祖国に戻ったオルランドは長い眠りにつき、目覚めると、男性から女性へと性別が変わっていることに気づきます。この劇的な変化は、オルランドの人生に新たな局面をもたらします。社交界の華となったオルランドですが、過去の同僚であるハリー大公からは嫉妬され、資産を奪われる訴訟を起こされます。

愛と人生の旅路

そんな中、オルランドは風来坊のシェルマディンと出会い、生涯の伴侶として愛を育んでいきます。オルランドは、時代や性別を超えて、様々な経験を積み重ね、人々との出会いを通して成長していく姿が描かれています。

キャストとスタッフ、そして原作との違い

オルランド役には、ティルダ・スウィントンが抜擢されました。彼女の個性的な魅力と演技力は、性別を超越したオルランドを完璧に表現しています。エリザベス1世を演じるのは、老境の女王像を見事に演じきったクウェンティン・クリスプ。その他、主要キャストにはシャルロット・ヴァランドレイ、ヒースコート・ウィリアムズ、ジョン・ウッド、ロテール・ブリュトー、ビリー・ゼインらが名を連ねています。

監督・脚本はサリー・ポッター、原作はヴァージニア・ウルフ、衣装デザインはサンディ・パウエル、美術はベン・ヴァン・オズとヤン・ロールフスが担当しました。

映画版では、原作小説の1928年という時代設定とは異なり、1990年代まで物語が延長されています。これは、原作の時代設定を「オルランドの生命の継続」という象徴的な解釈で捉えた、監督の演出上の工夫と言えるでしょう。

個性的なキャスティングと音楽

映画の大きな特徴の一つに、意表を突くキャスティングが挙げられます。中性的な容貌を持つティルダ・スウィントンが、男性から女性へと変化するオルランドを演じている一方、エリザベス1世は男性俳優のクウェンティン・クリスプが演じています。また、ヒースコート・ウィリアムズは、オルランドをパトロンとする詩人であり、後にオルランドの自伝の編集者として登場するという、興味深い役どころを演じています。

劇中音楽では、ポップグループであるブロンスキ・ビート～コミュナーズのヴォーカル、ジミー・ソマーヴィルが挿入歌を歌っています。

まとめ

『オルランド』は、性別や時代を超えた壮大な愛と人生の物語です。ティルダ・スウィントンの圧倒的な演技、そして美しい美術と衣装は必見。歴史ファンタジーとして、また恋愛映画としても楽しめる、魅力的な作品となっています。

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