オルラン10

オルラン10：ロシアの無人偵察機

オルラン10（ロシア語: Орлан-10）は、ロシア連邦の特殊技術センターが設計した無人航空機（UAV）であり、特に偵察ミッションに特化していることで知られています。最高速度は120キロメートル、最大で18時間の連続運航が可能で、日本の報道機関では「無人偵察機」との呼称が用いられています。エンジンやカメラは日本製が採用されており、技術の一部が国際的な注目を集めています。

概要

ロシア軍は、攻撃用ドローンの開発に苦戦しており、実際に運用しているものは多くが偵察用です。オルラン10は、プロペラ式の設計であり、主翼、水平尾翼、垂直尾翼を有し、全長は約3メートル、機体の重さは14キログラムに達します。最大高度は5000メートル、航続距離は約120キロから150キロとなっており、さまざまな任務に対応できる機体とされています。

この機体の主な開発目的は、戦場での『着弾観測』にありました。砲兵隊による大砲の射撃時に、初弾からの命中を確認することは非常に困難です。そのため、着弾地点をリアルタイムで確認し、必要な修正値を無線でフィードバックする役割をオルラン10が果たすことで、熟練した兵士のリスクを軽減しようとしています。特に危険な状況下において、このような高性能のドローンを使用する意義は高いと言えるでしょう。

ドローンには強力なセンサーが搭載されており、敵の対砲兵レーダーを感知したり、電子妨害やスパイ活動を行う能力も持つとされます。2014年のクリミア危機中、ウクライナ軍がこの機体を鹵獲した際には、日本の斎藤製作所製のエンジンが搭載されていたことが問題視され、無人機の技術についての議論が巻き起こりました。相対的に長時間運行が可能なオルラン10は、民生用のドローンとは根本的に異なる運用が求められており、その能力を国際的に示すことになりました。

実戦と影響

その後、2020年のナゴルノ・カラバフ紛争やシリア、リビアなど、多くの現場で実戦投入され、実績を上げています。しかし、ウクライナ国防省は2022年にオルラン10を撃墜したことを公表し、その際に撮影された動画では、機体内部の部品が驚くほど原始的であることが明らかになりました。特に燃料タンクの蓋が普通のペットボトルの蓋だったことは、技術的な改善点を示唆するものであり、専門家たちの驚きを引き起こしました。

ロシアのウクライナ侵攻では、オルラン10が激しい抵抗に遭い、多くが撃墜されたと伝えられています。その結果、この無人機は徐々にその劣悪な性能が浮き彫りになる一方で、小型爆弾を搭載したタイプも登場するなど、新たな運用方法が模索されています。

エンジンとカメラ

オルラン10の心臓部ともいえるエンジンには、日本の斎藤製作所によるFG-40型4サイクルエンジンが利用されています。このエンジンは特に静寂性と低燃費に優れており、なおかつ小型機動戦闘機のエンジンに近い性能を持っています。さらに、取り付けには多くの改良が施されており、エンジンの振動を吸収しながら、高画質な映像撮影を実現しています。機体には、キヤノン製のデジタル一眼レフカメラが装備されており、その取り付けもシンプルにテープで留められる形となっています。

性能諸元

• - 重量: 14キログラム
• - 最大搭載量: 5キログラム
• - 最大高度: 5,000メートル
• - 巡航速度: 90 - 150キロメートル毎時
• - 滞空時間: 16時間
• - ペイロード: カメラ+赤外線ビデオカメラ
• - 運用環境: -30℃ - +40℃

このように、オルラン10はロシア軍にとって重要な偵察ツールであり続けていますが、その利用法と性能には常に議論が付きまとうと言えるでしょう。

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