オンリー・ゴッド

『オンリー・ゴッド』について

『オンリー・ゴッド』（Only God Forgives）は、2013年に公開されたフランスとデンマークの共同制作映画で、ニコラス・ウィンディング・レフンが監督・脚本を担当し、ライアン・ゴズリングが主演を務めています。この作品はタイのバンコクを舞台にしており、アレハンドロ・ホドロフスキーに捧げられています。第66回カンヌ国際映画祭ではコンペティション部門に出品され、最優秀作品賞であるパルム・ドールを争いましたが、受賞には至りませんでした。アメリカでは2013年7月19日より上映が開始されました。

物語の概略

物語は、バンコクに暮らすアメリカ人のジュリアンに焦点をあてています。彼は表向きはムエタイジムを営む経営者ですが、実際には家族と共に麻薬密輸組織を運営しています。そんなある日、彼は殺された兄の仇を討つよう母親であり組織のリーダーであるクリスタルから命じられることになります。この復讐劇は、ジュリアンの内面的葛藤や家族間の複雑な関係を浮き彫りにしていきます。

主なキャスト

• - ジュリアン（演：ライアン・ゴズリング）

アメリカ人のジュリアンは、麻薬密売に関わっている男でありながら、ムエタイジムの経営者としても活動しています。彼の性格は寡黙で感情をあまり表に出さず、過去のトラウマから幻覚に悩まされています。クリスタルの命令で仇討ちを試みますが、圧倒的な敵に屈服してしまいます。

• - クリスタル（演：クリスティン・スコット・トーマス）

ジュリアンとビリーの母。感情が複雑な彼女は、ビリーに対しては愛情を持ちながらも、ジュリアンに対しては憎悪を抱いています。復讐心に燃える彼女は、刺客を送り込むなどしてジュリアンを追い詰めていきます。

• - チャン（演：ヴィタヤ・パンスリンガム）

元警官であり、裏社会での権限を持つ異常な行動をする男。彼の冷酷さと暴力性は、ジュリアンたちにとって大きな脅威となります。

• - ビリー（演：トム・バーク）

ジュリアンの兄。彼は極悪非道な行動を取り、最後にはチャンの手によって処刑されます。

制作の背景

ウィンディング・レフンは、この映画を通じて現代のカウボーイヒーローを描くことを目指し、西部劇風のスリラーとして制作しました。彼は本作を通じて、リアルな感情に基づいた誇張された現実を表現しようとしました。2012年には一部の映像がカンヌ映画祭で上映され、非常に注目を集めました。

評価と反響

『オンリー・ゴッド』は、カンヌ国際映画祭での初上映の際、賛否が分かれる反応を受けました。映画レビューサイトRotten Tomatoesによれば、批評家たちの間で評価が分かれ、批評家支持率は40％という結果が出ています。特に過激な暴力描写に対する評価が極端であり、肯定派はその中に見出される美しさを讃えていますが、否定派は嫌悪感を抱いています。特にクリスティン・スコット・トーマスの演技は多くの批評家から高く評価されました。また、シドニー映画祭ではグランプリを受賞しています。

まとめ

『オンリー・ゴッド』は、親子や兄弟間の複雑な絆と復讐の心理を描いた作品で、ニコラス・ウィンディング・レフンの独特な演出が色濃く表れています。ストーリーの展開やキャラクターの描写には多くの議論が呼び、観る者に深い印象を与える映画となっています。

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