オーストラリアコンパクト電波干渉計

オーストラリアコンパクト電波干渉計（Australia Telescope Compact Array, ATCA）は、オーストラリア国立望遠鏡機構(ATNF)によって運営されている電波望遠鏡です。ニューサウスウェールズ州に位置し、南半球で唯一稼働中の電波干渉計として、北半球の望遠鏡では観測が難しい南天の天体観測において重要な役割を果たしています。

ATCAは、口径22mのパラボラアンテナ6基で構成されています。そのうち5基は東西方向に3km、南北方向に214mのT字型のレール上に配置されています。残りの1基は、東西レールの西端からさらに3km西に固定されています。この配置により、広範囲の観測が可能となっています。

特筆すべきは、5基のアンテナの位置を年に数回変更できる点です。これにより、様々な基線長での観測が可能となり、あたかもカメラのズームレンズを調整するように、広角から望遠まで異なる視点で天体を捉えることができます。この機能により、様々な天体の詳細な観測データを得ることができます。

「コンパクト」という名前は、オーストラリア国内にある8基の電波望遠鏡を統合したVLBIシステム、長基線電波干渉計（Long Baseline Array: LBA）と区別するために用いられています。ATCAは、その名の通り、比較的コンパクトなシステムでありながら、高い観測能力を備えています。

ATCAは、天文学研究において不可欠なツールです。南天の天体観測に特化しており、その高い分解能と感度により、銀河、星雲、活動銀河核など、多種多様な天体の研究に貢献しています。また、可動式アンテナの配置変更機能により、観測対象に応じた最適な設定で観測を行うことができます。これにより、天文学者はより詳細で正確なデータを取得し、宇宙の謎の解明に役立てています。

関連事項
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外部リンク
ATNF ATCA official site

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