オーストラリアン・シェパード

オーストラリアン・シェパード

オーストラリアン・シェパードは、アメリカ合衆国カリフォルニア州原産の牧羊犬種です。その名前からオーストラリア原産と誤解されがちですが、実際にはアメリカが原産であり、「オウシー」の愛称で親しまれています。

歴史

1800年代、バスク地方からオーストラリアへ移住した羊飼いが牧羊犬として持ち込んだ犬たちが、オーストラリアン・シェパードの祖先であるという説が有力です。その後、これらの羊飼いは牧羊犬を連れてアメリカ合衆国西部へ再移住しました。この犬のルーツは、グレート・ピレニーズ、ワーキング・コリー、ティモンズ・バイター、ラフ・コリー、スムース・コリー、ボーダー・コリーなど多岐に渡ります。これらの犬種が自然交雑して生まれたのがオーストラリアン・シェパードですが、初期にはオーストラリアから直接来た犬種と認識されていたため、この名前が付けられました。

現在では世界中で広く飼育されており、牧羊犬としてだけでなく、聴導犬、救助犬、麻薬探知犬、介助犬、ドッグスポーツ犬としても活躍しています。もちろん、ペットやショードッグとしても非常に人気があります。日本でも人気が高く、国内でのブリーディングも行われています。毎年登録が行われており、2009年度の国内登録頭数順位は136犬種中61位でした。

特徴

オーストラリアン・シェパードは、コリータイプの体型をした犬種です。長く発達した脚を持ち、マズルはやや短めです。耳は垂れ耳で、生まれつき尾が短い「ナチュラルボブテイル」の個体も存在します。しかし、通常は長い尾を持ち、ブリーダーによって断尾されることが一般的です。被毛はロングコートで、毛色はブラックトライ、レッドトライ、ブルーマール、レッドマールの4種類があります。

瞳の色は、アメリカ先住民から「ゴーストアイ」と呼ばれていたように、黒（アメリカでは茶色とされる）と青の個体、または左右で色が異なるオッドアイの個体が存在します。体高は46～58.5cm、体重は16～32kgの中型犬に分類され、陽気で優しく、忠実な性格が特徴です。他の犬や子供とも仲良く遊ぶことができ、しつけの飲み込みが早く、状況判断能力にも優れています。非常に高い身体能力を持ち、豊富な運動量を必要とします。

かかりやすい病気としては、遺伝性の股関節疾患や目の疾患が挙げられます。特に、ブルーマールではなく真っ白な毛色の個体は、生まれつき難聴や失聴を抱えている可能性が高いため、注意が必要です。また、過去の乱繁殖の影響で、特定の家系では盲目の発症率が高い場合があります。入手する際は、その家系に問題がないかを確認することが重要です。

参考文献

『犬のカタログ2004』（学研）中島眞理 監督・写真
『日本と世界の愛犬図鑑2007』（辰巳出版）佐草一優監修
『デズモンド・モリスの犬種事典』デズモンド・モリス著書、福山英也、大木卓訳 誠文堂新光社、2007年
『日本と世界の愛犬図鑑2009』（辰巳出版）藤原尚太郎編・著

関連項目

犬の品種一覧
バスク・シェパード
* マクナブ・ドッグ

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