オートクレーブ養生した軽量気泡コンクリート

ALC（オートクレーブ養生軽量気泡コンクリート）とは

ALC（Autoclaved Lightweight Aerated Concrete）は、高温高圧蒸気養生（オートクレーブ）という特殊な製法によって製造される、軽量気泡コンクリートの一種です。工場生産による安定した品質と、優れた性能から、様々な建築物に利用されています。

特徴

軽量性: 内部に多数の気泡を持つため、通常のコンクリートの約1/4程度の重量です。これにより、建物全体の軽量化に貢献し、軟弱地盤での建築を可能にしたり、地震時の負担を軽減したりします。
断熱性: 気泡が断熱材の役割を果たすため、高い断熱性能を発揮します。冷暖房効率を高め、省エネルギーな建築物を実現します。熱伝導率はコンクリートの約1/10です。
耐火性: 無機質材料を主原料としているため、法定不燃材料として認定されています。火災時の延焼を防ぎ、建物の安全性を高めます。
施工性: 工場で製造されたパネルを現場で組み立てるため、工期を短縮できます。狭小地や隣接建物が近接している場所でも、クレーン等を用いて効率的な施工が可能です。

用途

ALCパネルは、その優れた特性から、様々な用途に利用されています。

外壁: 戸建て住宅から高層マンションまで、幅広い建物の外壁材として使用されます。デザイン性にも優れ、意匠性の高い外観を演出できます。防水のために塗装が施されます。
床板: 軽量性、断熱性を活かし、住宅や事務所の床板として利用されます。
間仕切壁: 耐火性、遮音性を活かし、高層建築物の間仕切壁や防火区画などに使用されます。
屋根: 軽量性を活かし、建物への負担を軽減します。

種類

ALCパネルには、用途や部位に応じて様々な厚さの製品があります。

木造用: 35mm、37mm、50mm。燃えない木材として、専用の鋸で切断加工が可能です。
中高層建築物用: 80mm(75mm)、100mm、120mm(125mm)、150mm。屋根、外壁、床板、間仕切壁、耐火被覆などに使用されます。
外壁用: 装飾性を高めたデザインパネルや、タイルを張り付けた製品もあります。

施工

ALCパネルは、工場で指定の寸法に切断されたものが現場に納品されます。標準的な幅は600mmで、厚みや長さは用途によって異なります。専用の金物やビスで固定し、建て込み後にコーキング処理を行い、欠損部や固定に使った穴を埋めて仕上げます。

標準と規格

ALCパネルの標準規格は、JIS A 5416「軽量気泡コンクリートパネル」で定められています。建物の耐火性能は、建築基準法施行令第107条や国土交通省告示によって規定されており、ALCパネルはこれらの基準を満たす材料として使用されています。

製品

日本国内では、以下のメーカーがALC製品を販売しています。

クリオン - クリオン株式会社
シポレックス - 住友金属鉱山シポレックス株式会社
ヘーベル - 旭化成建材株式会社

ALCパネルは、その優れた特性と施工性から、現代建築において重要な役割を果たしています。適切な設計と施工により、快適で安全な建築物を実現することが可能です。

もう一度検索