オートジャイロ

オートジャイロの概要

オートジャイロとは、前進することで風の力を利用して回転翼を回す航空機の一種です。この機体は、ヘリコプターやフェアリー ロートダインと同様に回転翼機にカテゴリー分けされますが、特にその構造には独自の特徴があります。オートジャイロの回転翼は動力と直接繋がっておらず、前方からの風の流れを受けて自然に回転します。そのため、完全な垂直離陸やホバリングはできませんが、強い向かい風がある場合はほぼ垂直離陸が可能なSTOL機として運用されています。

歴史と開発

オートジャイロの初飛行は1923年1月17日に、スペインのフアン・デ・ラ・シエルバによって成功しました。彼が開発した機体は、その特異な形状からヘリコプターに近い印象を持っています。しかし、ヘリコプターの回転翼はエンジンからの動力で回転するのに対し、オートジャイロの回転翼は周囲の気流によって回転し、揚力を生むため、構造はまったく異なります。

オートジャイロの回転翼は後傾した回転軸を持っており、機体が前進する際に発生する気流を受けて回転を始めます。この原理により、オートジャイロは常時、上面から下面に流れる気流を利用して飛行することができます。それゆえ、オートジャイロは風を活用した非常に特異な飛行特性を持つ航空機となっています。

操縦方法と特性

オートジャイロの操縦は、他の航空機と比較して独特の特徴を持ちます。回転翼が動力によって回転していないため、離陸時にはまず風上に向かい、エレベーターを操作して回転翼を後方に傾ける必要があります。そして、機体は十分な前進速度を得た後、通常の飛行機のように滑走して離陸します。どのような条件でも極端な失速が起きないため、特に旋回性に優れています。一般にオートジャイロは飛行機の中間的な操作感覚を持ち、直感的に操縦できます。

また、近年ではスポーツ用の新型オートジャイロが開発され、スタント機能も強化されています。これにより、小回りの利く操縦が可能となり、さまざまな運動性が求められる環境でも活用されています。

跳躍離陸への進化

オートジャイロの中には、特別な機構を備えたものもあります。例えば、回転翼に動力を供給するクラッチシステムを搭載し、ピッチを調整して急激に揚力を発生させることで、実質的に垂直離陸が可能な機体も存在します。これが跳躍離陸（ジャンプ・テイクオフ）と呼ばれる離陸方式です。この方式では、まず回転翼を動力駆動させ、高回転数を得てから揚力を発生させた後、前進するプロペラに切り替えて飛行を開始します。

世界各国における利用

オートジャイロはかつて軍用や商業用としても広く利用されていましたが、現在は主にスポーツ目的で使用されています。特にソビエト連邦では1920年代から独自の発展が見られ、その後のヘリコプター技術に多大な影響を与えました。日本では、戦時中に特定の任務のためにオートジャイロが製造され、利用されていました。

現在、中国や韓国などでもオートジャイロが消防活動などの特殊な用途に使用されることがありますが、ヘリコプターの方が優れた機能を持つため、オートジャイロの実用性には限界があります。一方で、スポーツ機としての人気は高まっています。オートジャイロは、その特性からさまざまな活動に適応できる柔軟性を持っています。

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