オーバーアマガウ

オーバーアマガウ：受難劇の村

オーバーアマガウ（Oberammergau）は、ドイツのバイエルン州に位置し、ガルミッシュ＝パルテンキルヒェン郡に属する小さな村です。この村は、特に「受難劇」として知られる劇の上演によって広く知られています。受難劇は、イエス・キリストの死と復活を題材にしたもので、全世界で様々な形で上演されますが、オーバーアマガウの場合、10年ごとに村全体が参加し、その規模と情熱で知られています。

受難劇の歴史

受難劇の歴史は、17世紀に遡ります。1633年、村はペストの大流行に直面し、村民たちは神に祈りを捧げる中で、もしペストの流行が収まったなら、10年ごとに受難劇を上演するという誓いを立てました。この祈りは聞き届けられ、その後オーバーアマガウからはペストによる死者が出ることはありませんでした。この出来事を契機に、初めての上演が行われたのは1634年のことです。以来、受難劇は村の伝統として息づいてきました。

受難劇は、ナポレオン戦争の終結を祝うためや、ヒトラーの提唱によって行われた300周年の特別な上演など、特例の上演も行われてきました。また、2000年の上演時には、劇の内容に含まれたユダヤ人に対する差別的な表現の修正が議論され、これについての取り組みは多くのメディアでも取り上げられました。

上演の形式と参加者

オーバーアマガウの受難劇は、壮大な野外劇場で行われ、2,000人以上の村民が出演します。劇は、イエス・キリストの生涯を描く主要なシーンに、旧約聖書のエピソードを取り入れた活人画が組み込まれ、観客に感動を与えます。観客席は5000席用意されており、開催される年には、5月から9月にかけて100回以上の公演が行われます。

上演は、休憩を挟みながら朝から夕方まで続き、観客はその演技を通じて深い宗教的体験を味わうことができます。2020年にはCOVID-19の影響で公演が延期され、2022年の5月14日にようやくスタートしました。開幕時点で、チケットの75%が販売されるほどの人気を誇り、最終的には約41万2000人が観劇しました。

次回の受難劇は、前回の開催から10年後の2030年に予定されており、今から楽しみにされている方も多いでしょう。オーバーアマガウの受難劇は、単なる舞台芸術ではなく、村全体が一丸となって作り上げる信仰と伝統の象徴とも言える存在です。

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