オーバーエンガディン

オーバーエンガディン：アルプスの宝石

オーバーエンガディンは、かつてスイスのグラウビュンデン州南部に存在した地方名です。イン川流域のエンガディン地方のうち、上流側を指し、中心地は国際的に有名な山岳リゾート地、サンモリッツでした。2017年の行政改革により、惜しまれつつもその名は消滅しました。

地理

地理的なオーバーエンガディンは、マローヤ峠付近のマローヤ村から北東へツェルネッツに至るイン川の谷筋を指します。ツェルネッツから下流のオーストリア国境まではウンターエンガディンと呼ばれています。「オーバー」はドイツ語で「上」、「ウンター」は「下」を意味し、オーバーエンガディンがイン川の上流に位置することを示しています。

行政上は、マローヤ郡に属する16の自治体のうち、南東端のブレガリアを除く15自治体がオーバーエンガディン地方とされていました。ただし、ブレガリア自治体はマローヤ峠を越えて東側にも領域があるため、地理的なオーバーエンガディン地方とは完全に一致しません。

オーバーエンガディンを代表する村は、サン・モリッツ、ポントレジーナ、シルス、マローヤなどです。これらの村々は標高1800m前後のイン川沿いに点在し、ベルニナ山系を中心とする雄大なアルプスと美しい湖に囲まれています。特にサン・モリッツは、過去2回の冬季オリンピック開催地として、世界的に知られています。

歴史と文化

オーバーエンガディンには、紀元前から続く古い歴史と独特の文化が息づいています。厚い壁に小さな窓、スグラフィット技法で描かれた幾何学模様やフレスコ画で飾られた家々は、この地域の文化的な特徴を色濃く反映しています。

観光

主要な産業は観光業で、冬はスキー、夏はハイキングや湖でのウォータースポーツが盛んです。美しい山々に囲まれたこの地域では、年間を通して様々なアクティビティを楽しむことができます。

アクセス

オーバーエンガディンへのアクセスは比較的容易です。サン・モリッツへは、チューリヒから列車で約4時間（クールで乗り換え）、ツェルマットからは氷河特急（グレッシャー・エクスプレス）で約8時間、ルガーノからは定期路線バスのパーム・エクスプレスで約4時間、ミラノからは約6時間（ティラーノで乗り換え）でアクセスできます。

オーバーエンガディンは行政区分としては消滅しましたが、その美しい景観と豊かな文化は今もなお訪れる人々を魅了し続けています。

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