オーリンズ (自動車部品メーカー)

オーリンズ：モータースポーツを支えるサスペンション技術のリーディングカンパニー

スウェーデンに拠点を置くオーリンズ社(Öhlins Racing AB)は、世界的に名高い自動車・二輪車用サスペンションメーカーです。ストックホルム郊外のウプランズ・ヴェスビーに本社を構え、約200名の従業員が、高性能なサスペンションシステムの開発と製造に携わっています。1976年の創業以来、その卓越した技術でモータースポーツシーンをリードし続けてきました。

モトクロスからF1、MotoGPへ：揺るぎない技術力の証

オーリンズの起源は、創業者のケント・オーリン氏のバイク修理の経験に遡ります。友人のモトクロスマシンの改良を通じてショックアブソーバー開発に着手し、1978年には、オーリンズ製ショックアブソーバーを搭載したマシンがモトクロスとエンデューロの世界選手権を制覇。この快挙によってオーリンズの名は世界へと知れ渡ることとなりました。

その後、オーリンズは二輪車にとどまらず、F1、CART、WRCなど四輪車のトップカテゴリーでも数々の成功を収めてきました。特にMotoGPクラスにおいては、2010年以降、多くのマシンがオーリンズ製サスペンションを採用しており、その高い信頼性と性能の高さが証明されています。タイヤサプライヤーのブリヂストン、ミシュランによるワンメイク供給というレギュレーションの影響もあったとはいえ、長年に渡るトップレベルでの活躍は、オーリンズの技術力の高さを雄弁に物語っています。

未来へ向けた技術革新：セミアクティブサスペンション

近年、オーリンズは高性能なショックアブソーバー本体だけでなく、セミアクティブサスペンションシステムの中核となる電磁切替弁デバイス(CES)の開発にも注力しています。この技術は、走行状況に応じてサスペンションの減衰力をリアルタイムで制御することで、操縦性と快適性の両立を実現します。このCESは、世界中の大手サスペンションメーカーにも供給されており、オーリンズの技術力が広く認められている証です。

さらに、オーリンズはマウンテンバイク市場にも進出し、リアショックだけでなくフロントフォークも提供しています。ロードバイクからオフロード車まで、幅広い分野でその技術を提供することで、より多くのユーザーに高性能なサスペンション体験を提供することを目指しています。

新たな章へ：ブレンボによる買収と未来展望

2016年には創業40周年を迎え、創業者であるケント・オーリン氏は社長を退任、グループCEOに就任しました。後任の社長にはヘンリック・ヨハンソン氏が就任しました。そして2024年10月11日、ブレーキシステムで知られるイタリアのブレンボ社によるオーリンズの買収が発表されました。この買収によって、オーリンズはさらなる成長と技術革新を遂げるものと期待されています。

日本においては、オーリンズジャパンABが活動拠点となっており、日本のモータースポーツシーンや自動車業界にも貢献しています。オーリンズは、今後もその革新的な技術力と高い信頼性で、世界のモータースポーツと自動車業界を支え続けることでしょう。

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