オール・オーヴァー・ザ・ワールド

「オール・オーヴァー・ザ・ワールド」（All Over the World）は、イギリスのロックバンド、エレクトリック・ライト・オーケストラ（ELO）が1980年に発表した楽曲です。この曲は、同年に公開された映画『ザナドゥ』のサウンドトラックに収録され、世界的なヒットを記録しました。

楽曲の特徴

賑やかで高揚感のあるディスコナンバーで、ELOの持ち味である、ストリングスを効果的に使用した華やかなアレンジが施されています。楽曲の冒頭と最後に挿入される、メンバーによる人声も印象的です。ELOの近年のコンサートツアーでは、定番の楽曲として演奏されています。

映画『ザナドゥ』では、主人公たちがショッピングモールで服を選ぶシーンで使用され、楽曲の持つ明るく軽快な雰囲気が、シーンを彩っています。

歌詞と構成

タイトルが示す通り、歌詞には世界中の主要都市の名前が多数登場します。ロンドン、ハンブルク、パリ、ローマ、リオデジャネイロ、香港、東京、ロサンゼルス、ニューヨーク、アムステルダム、モンテカルロといった都市名が次々と歌われます。

しかし、歌詞の最後には、これらの有名な都市に並んで、「シャードエンド（Shard End）」という、一見すると無名の地名が登場します。実はこのシャードエンドは、ELOのリーダーであるジェフ・リンの故郷、バーミンガム郊外の街の名前なのです。世界的な成功を収めたジェフ・リンが、自身のルーツを忘れないというメッセージが込められていると考えられます。

また、歌詞にはフランス語で「C'est la vie avez vous coup of tea（これこそ人生、お茶でもいかが）」という一節が含まれており、楽曲に洒脱な雰囲気を加えています。

ジョン・レノンからの評価

1980年9月、ジョン・レノンは雑誌のインタビューで、「ELOが歌う「All Over The World」が好きだ。こういう音楽を僕は求めていたんだ」と発言しました。ジョン・レノンは過去にもELOの楽曲「ショウダウン」を高く評価しており、偶然にも「ショウダウン」の歌詞にも「all over the world」というフレーズが登場します。ELOの音楽性が、ジョン・レノンの音楽的な嗜好に合致していたことが伺えます。

ベストアルバム

2005年には、この楽曲の名前を冠したベストアルバム『All Over the World: The Very Best of Electric Light Orchestra』が発売され、この曲も収録されています。ELOの代表曲の一つとして、広く認知されていることがわかります。

「オール・オーヴァー・ザ・ワールド」は、ELOの音楽的な魅力を凝縮した、ポップで華やかな名曲です。世界中の都市名を織り込んだ歌詞、ジェフ・リンの故郷への想い、そしてジョン・レノンからの賛辞など、様々な要素が詰まったこの曲は、ELOの代表作の一つとして、これからも多くの人々に愛され続けるでしょう。

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