オーロフ (スウェーデン王)

オーロフ・シェートコヌング：スウェーデン初期の王、キリスト教化と貨幣鋳造

オーロフ・シェートコヌング（Olof Skötkonung, 980年頃 - 1022年?）は、スウェーデン王として994年頃から1022年頃まで在位しました。彼は、スウェーア人とイェート人の双方を支配したことが確認できる、スウェーデン史上最も古い王の一人です。父はエリク6世（勝利王）、母はスコグルのトースティの娘シグリッドという血筋です。

スヴォルドの海戦とキリスト教受容

1000年のスヴォルドの海戦において、オーロフはデンマーク王スヴェン1世らと連合し、ノルウェー王オーラヴ1世トリュグヴァソンを打ち破りました。この戦いは、北欧の勢力図を大きく塗り替える出来事でした。

オーロフは1008年頃にキリスト教（西方教会）の洗礼を受けました。当時、スウェーデンは北欧の中でも異教の影響が色濃く残る地域でしたが、彼はキリスト教徒となり、スウェーデンにおけるキリスト教化を推進しました。しかし、ガムラ・ウップサーラで行われる9年に一度の大犠牲祭では、キリスト教徒となった後も司祭を務めました。ガムラ・ウップサーラは、異教徒にとって重要な聖地であると同時に、王位継承という政治的にも重要な場所だったからです。オーロフ以後、スウェーデンの王はキリスト教化を進めましたが、12世紀にキリスト教が完全に勝利するまで、歴代の王は司祭の役割を担い続けました。

また、オーロフはヴェステルイェートランドのスカーラに司教座を設置し、ここを拠点としてスウェーデンにおけるキリスト教化を推し進めました。

スウェーデン貨幣の鋳造

オーロフはスウェーデンで初めて貨幣鋳造にも取り組みました。ウップランド地方のシグトゥーナで、硬貨に「REX」（ラテン語で「王」を意味する）の文字を刻ませました。硬貨には「OLUF REX」または「OLAF REX」と表示され、ラテン語の使用は、オーロフがすでに洗礼を受けていたことを示唆しています。シグトゥーナは、「SITUN」、「ZINT」、「ZTNETEI」、「SIDEI」などと表記されました。最後の2つは、「神のシグトゥーナ」（Si(gtuna) Dei）を意味すると解釈されています。これらの貨幣は、字体や様式においてイングランドのペニー貨を模倣していました。これは、スウェーデン、デンマーク、ノルウェーの3国が共同でゴッドウィンという人物に貨幣鋳造を依頼したためで、3国の硬貨はエゼルレッド2世時代の十字架をあしらったペニー貨に似たものとなりました。しかし、スウェーデンにおける貨幣鋳造は、経済的な目的だけでなく政治的な意味合いも強く、オーロフとその子アーヌンド・ヤーコブの治世が終わると、その試みは終息しました。

サガにおけるオーロフ

アイスランドの詩人ハルフレズのサガには、ハルフレズがオーロフを訪ねて詩を献上し、喜んだオーロフが彼にスウェーデン滞在を勧めたものの、固辞されたという逸話が残されています。

「シェートコヌング」という名の意味は未だ解明されていません。研究者によって様々な解釈がなされています。

オーロフ・シェートコヌングの治世は、スウェーデンが国家として形成されていく上で、重要な転換期であったと言えるでしょう。

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