オーロラの救世主

エレクトリック・ライト・オーケストラ（ELO）が1976年に発表したアルバム『オーロラの救世主』（A New World Record）は、ELOの音楽性が確立に向かう過渡期の作品として位置づけられます。ジェフ・リンのポップセンスが前面に出始め、ELOサウンドの方向性が徐々に明確になっていく過程が感じられます。

アルバムタイトルは、ミュンヘン・オリンピックのテレビ中継で頻繁に表示された「世界新記録」のテロップからインスパイアされたものです。このタイトルが示すように、ELOはこのアルバムで新たな音楽の地平を切り開こうとしていました。

『オーロラの救世主』には、「タイトロープ」「テレフォン・ライン」「ドゥ・ヤ」といったELOを代表するヒット曲が多数収録されています。これらの楽曲は、ELOの音楽的特徴である、重厚なオーケストレーションとポップなメロディが融合したサウンドを体現しています。

このアルバムは、ELOにとって商業的な成功の足がかりとなりました。英国で初めてトップ10入りを果たし、アメリカとイギリスで200万枚以上を売り上げるマルチプラチナを獲得。発売から1年間で全世界500万枚を売り上げました。次作『アウト・オブ・ザ・ブルー』（1977年）の大成功につながる重要な作品と言えるでしょう。

ELOを象徴するカラフルな円盤がジャケットに初めて登場したのも、このアルバムからです。この印象的なジャケットは、ELOの音楽性とイメージを視覚的に表現するものとして、広く認知されるようになりました。

収録曲

A面
タイトロープ - Tightrope
2001年のズームツアーや2016年以降のAlone In The Universeツアーで演奏。
テレフォン・ライン - Telephone Line
1977年5月シングルカット。ELOの代表作。オーケストラとコーラスを配したPOPバラード。
哀愁のロッカリア - Rockaria!
1977年2月シングルカット。ベスト盤収録。「ロック」と「アリア」の融合。
ミッション - Mission (A World Record)
SF的な歌詞。タイトルソングであり、ジャケットの円盤もこの曲を意識。
B面
ソー・ファイン - So Fine
民族音楽風の間奏が挿入されている実験的な試み。
オーロラの救世主 - Livin' Thing
1976年10月シングルカット。ミック・カミンスキーのバイオリンが特徴。
アバブ・ザ・クラウズ - Above The Clouds
ELOの曲の中では短い部類。
ドゥ・ヤ - Do Ya
ザ・ムーヴ時代の楽曲のセルフカヴァー。ELO風にアレンジ。
シャングリ・ラ - Shangri-La
ザ・ビートルズの楽曲「ヘイ・ジュード」が歌詞に登場。
リマスター盤ボーナス・トラック
テレフォン・ライン[ディファレント・ヴォーカル] - Telephone Line (Different Vocal)
サレンダー - Surrender
2006年再発の際、シングルカット。
タイト・ロープ[インストゥルメンタル・ラフ・ミックス] - Tight Rope (Instrumental Early Rough Mix)
アバヴ・ザ・クラウド[インストゥルメンタル・ラフ・ミックス] - Above The Clouds (Instrumental Rough Mix)
ソー・ファイン[インストゥルメンタル・ラフ・ミックス] - So Fine (Instrumental Early Rough Mix)
テレフォン・ライン[インストゥルメンタル] - Telephone Line (Instrumental)

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