カイの戦い

カイの戦い（1759年）

カイの戦い（英語: Battle of Kay）は、七年戦争中の1759年 7月23日に、現在のポーランド領キイェ近郊で行われた戦闘です。スレフフの戦い、チュリヒャウの戦い、パルツィヒの戦いとも呼ばれます。

背景

1759年、プロイセンは守備に重点を置いた戦略を取っていました。フリードリヒ2世がシュレージエンで軍を集結させたため、オーストリア軍はボヘミアに留まらざるを得ませんでした。一方、ロシア軍はポーランド西部からオーデル川に向けて進軍し、プロイセンの中心地であるブランデンブルク辺境伯領とベルリンを脅かしました。フリードリヒ2世は、ドーナ将軍を派遣してロシア軍に対抗させました。

7月初旬、ロシア軍はポズナンへの進軍を計画しており、オーストリア軍はクフィサ川沿いに軍を展開していました。同盟軍は7月8日に作戦会議を開き、サルトイコフはシュレージエンへの侵入を主張しました。ダウンはフリードリヒ2世の動きを警戒していましたが、ラウドン率いる予備軍を派遣しました。フリードリヒ2世は7月4日にランデスフートを離れ、レーヴェンベルクへ進軍しました。一方、ハインリヒはザクセンからザーガンへ進軍し、ダウン軍とサルトイコフ軍の連絡を遮断しました。ダウンはハディク率いる偵察軍を派遣し、ハインリヒ軍を追跡させました。

戦闘の経緯

エリザヴェータ女帝の命令を受け、サルトイコフはプロイセンへの進軍を続けました。ロシア軍の兵力は4万1千人と推定されています。フリードリヒ2世はドーナ将軍にロシア軍の進軍を阻止するよう命じましたが、ドーナ軍は2万6千人でした。

7月中旬、サルトイコフとドーナは互いに対する陽動作戦を展開しましたが、サルトイコフはプロイセン国境に接近しました。7月14日、彼はオーデル川に向かい、19日にシレジアとの境界にあるチュリヒャウに到着し、数日間休息を取りました。

フリードリヒ2世はドーナを更迭し、ヴェーデルを後任に据えました。ヴェーデルは7月20日に到着し、チュリヒャウでロシア軍の進路を阻止し、オーデル川への進軍を阻止しようとしました。彼は翌日に攻撃を仕掛けようとしましたが、ロシア軍の弱点を見つけることができませんでした。

7月20日、サルトイコフは軍の一部をカイとチュリヒャウに向かわせ、自らはオーデル川でプロイセン軍の連絡線を遮断しました。ロシア軍はカイの高地とモズフの高地を占領し、地理的な優位を確立しました。アイヒミューレン＝フリースという小川がカイの東で沼地を流れており、渡河できる場所は限られていました。ヴェーデルは、ロシア軍が全軍を出撃させなければ、突撃が可能だと考えました。7月23日、ヴェーデルはサルトイコフ軍を偵察し、行軍中であることを確認しました。フリードリヒ2世はヴェーデルに「いい陣地」を確保し、「望ましい攻撃手段」を使うよう命じていました。ヴェーデルは、サルトイコフ軍がフランクフルトに進軍する前に戦闘に持ち込む必要があると考え、進軍を命令しました。

プロイセン軍は2列でカイに向けて行進しましたが、カイを囲んでいる峡谷を抜けると、ロシア軍の散兵との戦闘が始まりました。ロシア軍の小部隊は撃退されましたが、援軍が来たことで全面的な戦闘に発展しました。ロシア軍はカイのまわりの高地からプロイセン軍を砲撃しました。マントイフェル将軍は6個大隊を率いて砲台を攻撃しましたが、撃退されました。その午後には3回の突撃が行われましたが、いずれも撃退されました。

ヴェーデルは騎兵にサルトイコフ軍右翼へ総突撃するよう命じましたが、ロシア軍の反撃に遭い、攻撃は失敗しました。高地にあるロシア軍に向けて何度も突撃したプロイセン軍は大損害を被りました。ヴォーバースノー率いる8個大隊とチュリヒャウからの6個戦隊がサルトイコフ軍右翼を猛攻しましたが、ロシア騎兵が砲火の援護もあってそれらを全て撃退し、ヴォーバースノーも戦死しました。

戦闘後

ヴェーデル軍は8千人以上を失いましたが、フリードリヒ2世は自軍の損害を約800人、ロシア軍の損害を約7千人と発表しました。フリードリヒ2世はプロイセン軍を臆病なならず者であると罵りました。彼は再度の概算でプロイセン軍損害1,400人、ロシア軍損害14,000人という数字を出しましたが、それは自己欺瞞に過ぎませんでした。

カイを失ったことで、サルトイコフ軍のオーデル川への進軍を阻む者はなくなり、彼は7月28日にクロッセンに到着しました。しかし、オーストリア軍との相互不信から、サルトイコフはそこで行軍を止め、プロイセン領に侵入しませんでした。ダウンはラウドン率いる予備軍を派遣してサルトイコフと合流させました。ハディク軍とラウドン軍は7月29日に合流し、8月3日にはサルトイコフ軍がフランクフルトを占拠しました。翌週、ハディク軍とラウドン軍はクーネルスドルフでサルトイコフと合流しました。

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