カオスレギオン

カオスレギオン：混沌の軍勢と壮絶な戦いの物語

「カオスレギオン」(Chaos Legion) は、カプコンがPlayStation 2とPC向けに発売したゲームソフト、そして富士見ファンタジア文庫から刊行された冲方丁によるライトノベルを原作とするメディアミックス作品です。小説版のイラストは結賀さとるが担当し、2005年版『このライトノベルがすごい！』では作品部門で10位にランクインするなど、高い評価を得ています。

タイトルの「レギオン」は、聖書に登場する悪霊の大軍を意味し、「カオスレギオン」は「混沌の軍勢」と訳せます。この言葉が示す通り、作品全体を通して、混沌とした世界観と壮絶な戦いが描かれています。

物語のあらすじ

物語は大きく分けて「招魔六陣篇 - 聖魔飛翔篇」と「聖戦魔軍篇」の2部構成になっています。

「招魔六陣篇 - 聖魔飛翔篇」では、主人公ジークと従士となるノヴィアが出会い、聖戦魔軍篇へと繋がる物語が展開されます。このパートでは、ジークやノヴィア、レオニスといった主要キャラクターたちの過去が明らかになり、物語の伏線が丁寧に敷かれています。

「聖戦魔軍篇」では、天界と堕界の狭間にある世界、アルカーナ大陸が舞台となります。主人公ジークは、かつての親友であり上官であったヴィクトール・ドラクロワとの対決を余儀なくされます。ドラクロワは、3年前に最愛の人を失い、復讐の鬼と化した存在。ジークは、そのドラクロワを倒すという、悲しくも重い使命を背負っています。

主要登場人物

ジーク・ヴァールハイト: 物語の主人公。「黒印騎士団」所属の葬士・騎士。赤い髪に黒革の鎧、ボロボロの白外套という風貌で、無口で無愛想な性格ですが、内面には熱い情熱と優しさを持っています。左腕に刻まれた聖印（ハイリヒ）の力で死者を呼び出し、「ただ一人の軍団（レギオン）」と呼ばれるほどの力を持っています。また、死者の声が聞こえるという特殊能力も備えています。「ヴァールハイト」は「戦場の真理」を意味する称号で、その名にふさわしい類まれな戦術眼とレギオンの力で数々の戦いを勝利に導いてきました。聖咎の剣（インドルガンツィア）を右手のみで操る独特の戦闘スタイルも特徴です。

ヴィクトール・ドラクロワ: ラクロワ聖堂の後継者で貴族。ジークのかつての上官であり、親友でもありました。長い銀髪が特徴的な人物です。「争いを無くす」ことと「全ての人を王にする」ことを理想に掲げ、軍の最大勢力となりますが、陰謀に巻き込まれ、多くの兵を失い、聖法庁への復讐を誓います。最終的には、自身の過ちに気付き、自らの手で罪を償うという悲劇的な最期を迎えます。

シーラ・リヴィエール: ジークとドラクロワと共に理想を追い求めていた人物ですが、ある事件をきっかけに命を落としてしまいます。蜜蜂色の髪を持つ、美しくも悲しい運命を辿った女性です。

アーシア・リンスレット: 兄をドラクロワに殺され、復讐を誓って戦場をさまよう女性。ジークと出会い、共に戦うことになります。

アズライール: アルカーナ大陸を支配する神。人の心の隙間に忍び込み、囁くことで人を操ります。

聖クレマチス（初代）: アズライールから聖印を授かった人物。アズライールの企みに気づき、彼を封印しようとします。

小説版では、ノヴィア、アリスハート、キリ・ラフィエット、レオニス・ジェルミナル、トール・ヴュラードなど、多くの個性的なキャラクターが登場し、物語に深みを与えています。

ゲーム版について

ゲーム版「カオスレギオン」は、エモーショナルアクションという新たなジャンルで発表された三人称視点のアクションRPGです。全15ステージ構成で、プレイヤーは主人公ジークを操作し、迫りくる敵の大群に挑みます。PS2版は比較的難易度が低めでしたが、インターナショナル版（PC版）では難易度が調整されています。PS2版は『週刊ファミ通』で30点という高評価を得ています。

発売までの経緯とその後

当初は世界展開を目指し、大規模な開発が行われましたが、カプコンの業績不振により発売時期が繰り上げられ、売上目標を大きく下回る結果となりました。このことがきっかけで、カプコンの経営再編が行われ、開発部署の廃止なども発生しています。

PS2版発売後には、インターナショナル版がPC向けに発売されました。インターナショナル版は難易度以外にも、多言語対応や音声、スタッフロールなどが変更されています。

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