カシュガル条約

カシュガル条約は、19世紀後半にロシア帝国と清国（当時の中国）の間で、中央アジアにおける国境線を確定するために締結された一連の条約群を指します。特に、カシュガル地方を中心とした地域を巡る領土画定を目的としており、両国の勢力範囲の境界線を定める上で重要な役割を果たしました。

条約は、大きく分けて二つの主要な部分から構成されています。一つは1882年に締結された東北界約、もう一つは1884年に締結された西北界約（中俄勘分西北界约记）です。これらの条約は、それぞれ異なる地域における国境線を定めており、両国間の交渉と妥協の産物と言えます。

東北界約（1882年）：この条約は、カシュガル地方の東北部に位置する地域における国境線を確定しました。具体的にどのような地域が含まれていたのか、その詳細な内容は史料によって異なりますが、この条約によって、ロシアと清の双方が一定の領土を相互に認め合う形となりました。

西北界約（1884年）：正式名称を「中俄勘分西北界约记」というこの条約は、カシュガル地方の西北部における国境線を確定しました。この条約は、より広範な地域を対象としており、その後の両国間の国境紛争の種を一部残したものの、中央アジアにおける勢力均衡を保つ上で重要な役割を果たしました。

カシュガル条約の締結は、当時の国際情勢、特に「グレート・ゲーム」と呼ばれる、中央アジアにおけるロシアとイギリスの勢力争いの影響を強く受けています。清国は、弱体化が進む中で、ロシア帝国の勢力拡大を食い止めるために、この条約交渉に臨みました。しかし、最終的にはロシア側の要求を一部受け入れる形となり、その後の中国における領土問題の一因となりました。

カシュガル条約は、現代の中央アジアにおける国境線の基礎となっており、この地域の政治、経済、文化に大きな影響を与え続けています。関連する地域史の研究において、この条約は重要な意味を持っています。

関連項目

* 外西北

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