カタコンブ・ド・パリ

カタコンブ・ド・パリ

カタコンブ・ド・パリ（Catacombes de Paris）は、フランス・パリに存在する地下納骨堂であり、その歴史と魅力は多くの訪問者を惹きつけています。場所は旧市街のアンフェール門の南側、ダンフェール＝ロシュロー広場近くにあります。このカタコンブには約600万人分の遺骨が保管されており、かつての地下採石場のトンネルや洞窟が利用された形で遺骨が収められています。1786年から1788年にかけて行われた改葬によって多くの遺骨が集められ、1810年からは観光名所として一般に公開されるようになりましたが、2009年には一時的に公開が中止される事態もありました。

歴史背景

カタコンブの歴史は、パリ市内の密集した教区墓地に起因しています。キリスト教伝来以降、地下や聖なる土地に遺体が埋葬されてきましたが、人口増加で埋葬スペースが不足し、特にサン・イノサン墓地が過密状態に陥りました。そこで、埋葬が困難になった人々のために新たに集団墓地が設けられることになり、これが後のカタコンブの前身となります。1737年には墓地の過密さが原因で疫病が広がる危険性が指摘され、1765年には市内での埋葬が禁止されました。

1785年にはサン・イノサン墓地の閉鎖が決定し、ここから集められた遺骨が旧採石場に移送されることになります。この移送作業は数年間にわたって行われ、最終的には145か所の修道院や礼拝所からの遺骨もカタコンブに集められることとなります。

カタコンブの装飾と構造

カタコンブは単なる遺骨のストレージではなく、訪れる人々に驚きと神秘を提供します。入り口には「ここが死の帝国である」と刻まれた石碑があり、訪問者はそれを通過してカタコンブの奥へと進みます。内部は静けさに包まれ、廊下や部屋の壁には整然とした形で頭蓋骨や骨が配置されています。これらの骨は、その形状や配置によって独特の装飾性を持ち、訪れる人々に深い印象を与えます。

さらに、カタコンブの構造はもともと採石場だった名残を残しており、その空間の広がりや形にも注目が集まります。カタコンブを訪れることで、歴史を感じながら死と向き合う特有の経験が得られるのです。

歴史的な訪問とカタコンブの現在

カタコンブは1787年に最初の訪問者を迎え、その後も多くの著名人が訪れました。オーストリア皇帝フランツ2世やナポレオン3世など、政治的に重要な人物もその神秘的な空間を体験しています。また、19世紀以降、訪問は一般に広がり、今では観光地としても知られています。

カタコンブはただの観光スポットではなく、フランスの歴史や人々の記憶が詰まった場所でもあります。訪れることで、過去を思い起こし、死という普遍的なテーマについて考えさせられることでしょう。

結論

カタコンブ・ド・パリは、訪問者に独特な体験を提供する特別な場所です。訪れる人々は、数世紀にわたる歴史を感じ、遺骨の存在と向き合いながら死の意味を考える機会を得ることができます。パリを訪れた際には、是非その神秘の扉を開いてみてください。

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