カタラット

カタラット（Catarratto）は、イタリアのシチリア島で主に栽培されている白ワイン用のブドウ品種であり、シチリア島で最も広く栽培されているブドウとして知られています。かつては過剰生産により、ヨーロッパのワイン市場に影響を与えたこともありました。

カタラットから造られるワインは、レモンのような柑橘系の風味を持つ、しっかりとしたボディが特徴です。シチリア島のエトナ地域では、DOCワインに使用される際、ミネッラ・ビアンカやカッリカンテといった他のブドウ品種とブレンドされることがよくあります。

カタラットの亜種と表現型

カタラットには、いくつかの異なる表現型が存在します。これらの表現型は、ブドウの果実表面に見られる白い粉状の物質「ブルーム」の量によって区別されます。ブルームが少ないほど、ブドウの果実は光沢を帯びた外観になります。

カタラット・ビアンコ・コムーネ: ブルームが多いタイプです。
カタラット・ビアンコ・ルーシド: ブルームの量が少なく、光沢があるタイプです。
カタラット・ビアンコ・エクストラルーシド: ブルームが全くないタイプです。1971年にカタラット・ビアンコ・ルーシドの中から選抜されました。

カタラット・ビアンコ・コムーネとカタラット・ビアンコ・ルーシドの違いは、1883年にパレルモのアンペログラフ委員会によって初めて記述され、命名されました。イタリアでは別々のブドウ品種として登録されていますが、DNA型鑑定の結果、これらは同一品種であることが判明しています。つまり、これらの表現型の違いは、同じ元の株から栄養繁殖によって増やされたブドウの系統間における変異によるものと考えられています。これは、畑から優れた株を選び、穂木を取って苗を作り、元の畑に戻す「マス・セレクション」と呼ばれる方法によって生じます。

カタラットの系統

2008年に発表されたイタリアの研究では、DNA型鑑定を用いて、カタラットがガルガーネガというブドウ品種と遺伝的に近い関係にあることが示されました。ガルガーネガは、ヴェネト州を中心に栽培されている白ブドウであり、ソアヴェなどのワインの主要品種として知られています。また、カタラットと他のいくつかのブドウ品種との間にも密接な遺伝的関係があることが示唆されています。

ガルガーネガは、その親品種が特定されていないため、ガルガーネガがカタラットの親品種の1つである可能性が考えられますが、正確な関係はまだ明確に確立されていません。

カタラットの別名

カタラットは、地域や栽培者によって様々な別名で呼ばれています。以下は、その代表的なものです。

Castellaro
Cataratto Bertolaro
Catarratto Bianco Comune
Catarratto Bianco Extra Lucido
Catarratto Bianco Latino
Catarratto Bianco Lucido
Catarratto Bianco Lustro
Catarratto Bianco Nostrale
Catarratto Carteddaro
Catarratto Bertolare
Cattaratto Commune
* Catarrato Lucido

これらの別名は、カタラットの多様性と、シチリア島におけるその長い歴史を物語っています。

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