カテナチオ

カテナチオの戦術

カテナチオとは、1950年代から1960年代にイタリアで登場した堅守速攻スタイルのサッカー戦術を指します。この名称はイタリア語で「閂（かんぬき）」を意味し、守備が非常に堅牢であることを示しています。この戦術は、ディフェンスラインの背後で動くスイーパーの動きが、閂の役割を果たすことに由来しています。カテナチオは、守備を固めつつ前線の選手が素早く攻撃を仕掛けるスタイルで、試合の結果を重視するイタリア的な好みが色濃く反映されています。

カテナチオの起源

カテナチオの歴史を遡ると、その根源はカール・ラパンによって提唱された「ベロウ・システム」に行き着きます。イタリアの各クラブは、ディフェンスラインの後ろに完全に守備的な選手を配置するこの戦術を次第に発展させ、カテナチオとして知られるようになりました。ネレオ・ロッコが指揮したパドヴァや、エレニオ・エレーラが監督を務めたインテルが、その代表的な実施例です。1960年代にはエレーラがこの戦術を駆使して、国内リーグやヨーロッパ・チャンピオンズカップのタイトルを獲得し、インテルは「グランデ・インテル」と称されるようになりました。

具体的な戦術

エレーラのカテナチオでは、守備の4人がマンマークを行い、その後ろに自由に動けるリベロが配置されます。このリベロは、何かアタッカーが抜けた際のフォローを行う重要な役割を果たします。一般的なフォーメーションは1-4-3-2ですが、時が経つにつれて1-3-3-3などのバリエーションも生まれてきました。カテナチオでは、自陣ゴール前に多くの選手を配置し、失点を抑えつつ、機を見て早急に攻撃へと転じます。このような守備重視のスタイルは「パーク・ザ・バス」とも呼ばれ、特に大型のクラブ対策に重宝されました。

日本におけるカテナチオ

日本のサッカー界でも「カテナチオ」に類似した戦術が採用され、いくつかのクラブにおいて通称が誕生しています。例えば、水戸ホーリーホックは「水戸ナチオ」、横浜FCは「ハマナチオ」と呼ばれるようになりました。大分トリニータの「カメナチオ」、大宮アルディージャの「アルナチオ」なども、堅守速攻が特徴的でした。名古屋グランパスは「カテナゴヤ」や「グラナチオ」として名を馳せ、湘南ベルマーレも「ベルナチオ」として、全員守備のシステムを確立しました。

また、日本代表チームもカテナチオに近い戦法を展開したことがあります。たとえば、2010年のワールドカップでは、岡田監督の下で「オカナチオ」と称される守備重視のフォーメーションが用いられました。2022年ワールドカップではスペイン戦において、可変式のカテナチオを駆使し、日本は見事勝利を収めました。

結論

カテナチオはただのサッカー戦術にとどまらず、堅守と速攻の理想的なバランスを示すスタイルとして、多くのプレーヤーやチームに影響を与えてきました。この戦術は、守備を重視するサッカーの象徴として、現在でも多くの試合で見ることができる重要なテクニックです。

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